著者紹介
2017年3月21日初版のたま出版から発刊され、著者は横内正典氏です。横内氏は1971年に弘前大学医学部を卒業され、外科医として勤務されましたが、1994年に東中野で自由診療で漢方治療などを主体とした横内醫院を開業されました。
たくさんの症例を提示され、実際の漢方薬処方などの診療について経過とともに紹介されています。
続絶望を希望に変える癌治療
内容
漢方薬による癌治療を始めたのは43年前からです。漢方薬は神経やホルモンなどの体のバランスを回復させ、食欲がわき質のよい睡眠がとれるようになり、癌治療に関しては抗癌剤の副作用を抑える効果があるとされています。漢方薬が現代医学を見事にサポートしているわけです。漢方で癌を治すといっても手術、抗癌剤、放射線治療という癌の三大治療を一切拒否しているわけではありません。
ウイルスはアデノウイルス、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、単純性ヘルペスウイルスなどが遺伝子を傷つけがんの発生と増殖に大きく関わっています。葛根湯という抗ウイルス薬があります。
バクテリアも遺伝子を傷つけ、特に深く傷つけるのはクラミジア・トラコマティスです。
紫外線を浴びるとDNAが傷つき、活性酸素・フリーラジカルを発生させ遺伝子が傷つきます。
ストレスを感じると副腎皮質から糖質コルチロイドというステロイドホルモンが放出され、このホルモンがリンパ球を死滅させ、マクロファージの活性を低下させ、副腎と胸腺を委縮させてしまうのです。
タバコの煙には多くの発がん物質が含まれています。タバコ1本吸うと1日に必要なビタミンCの半分が破壊され、胸腺の働きやT細胞の活性化になくてはならないもので、それらの機能が落ちます。タバコは薬効も阻害します。タバコをやめずにがんを治した人は横内醫院にはいません。
放射線と電磁波も検査で曝露することがありますが、本当に必要な時以外はこれの検査を受けないようにしましょう。電子レンジでも高周波電磁波が発生しますので、使用するとき以外はプラグを抜いておきましょう。携帯電話や電気毛布も危ないですし、ホットカーペットも人体に近いため注意が必要です。電磁波を浴びた瞬間に氣の停滞が起こりウイルスや細菌が人体に入りやすくなります。
食材に使われる農薬や殺虫剤や防カビ剤などに注意は必要で、肉類にも有害なものが含まれている危険性が高く、魚も同様で特に養殖魚は有害物質が含まれる危険性があります。玄米食や自然食にも注意が必要です。玄米には体を冷やす食品のため、毎日摂取すると病気と闘う意欲をなくしてしまう危険性があります。健康食品で癌が治るならとっくに製薬メーカーが医薬品にしているはずです。
大気汚染物質の二酸化窒素、オゾンは活性酸を生成し遺伝子を傷つけます。大気汚染の心配がある時はできるだけ外出を控え、室内に観葉植物を育てましょう。
経口抗癌剤は二次性発癌リスクを高めていることもわかっています。
漢方では人体の正気が不足して邪気が上回り、陰陽が失調することにより腫瘍ができます。補中益気湯や十全大補湯は今ではよく使われるようになった漢方薬で、主な生薬は人参、白朮、黄耆です。漢方では体質を改善することによって病邪を治すので、漢方の補剤で免疫力を高め、攻剤で癌や腫瘍をたたくことにより、患者さんの体質が変わりが癌が治っていきます。患者さんの体質を見極め、病状を正確に把握して処方しなければ治りません。副作用が起きる場合もあるので素人判断で勝手に服用しないようにしましょう。
癌の増殖を加速する大きな原因はウイルスと細菌と確信しています。漢方の考えではEPAとDHAがウイルスに対して有効で、活性酸素の働きを抑制します。インフルエンザウイルスA型にはそれに加えて葛根湯を服用すると著しい効果を発揮します。B型には麻黄湯の方が効果が高いです。クラミジア・トラコマティスには抗菌薬だけでは殺せませんので、竜胆瀉肝湯と桂枝茯苓丸を併用し、テトラサイクリン製剤、エリスロマイシン系抗生物質などの西洋医薬を併用します。ウイルスに対して合成ペニシリンのアモキシシリンなどの西洋医薬を併用することもあります。
玄米菜食のみといった食事療法や絶食は、健康な人には良い効果もありますが、癌患者さんには絶対にやめていただきたいことの一つです。ニンジンジュースや野菜ジュースは体を冷やしますので、健康な人ならさほど問題はありませんががん患者さんにとってはまったく良いこととは言えません。がんになったら食べることが一番重要だといっても過言ではないくらい、食べることが大切なのですから、断食が良い影響を及ぼすことなどあり得ないのです。
感想
私は10年くらい前に横内氏の書かれた本を読んで、実際横内醫院に見学にいきました(電話したら快く承諾いただきました)。パワーテスト(Oリングテスト)で患部や体の各箇所を診察されてがんの活動の有無やがんの原因となるような感染の有無を判断されているようでした。院内は患者さんが多くおられ、実際診察を見学させていただいた方は大阪から子供さん同行で来られていました。漢方薬の調合で治療することよりも、パワーテストをササッとされて、原因や状態を把握されていたことにびっくりしました。