がん細胞をしっかり消す食事

著者紹介・はじめに

2023年11月1日に英和出版社より発刊され、著者は済陽高穂(わたようたかほ)氏です。済陽氏は1970年に千葉大学医学部を卒業され、消化器病センターで勤務され、2008年から現在の西台クリニック院長をされ、千葉大学医学部臨床教授も兼任されています。2007年に済陽式抗がん食事療法を書籍にまとめられました。個別に食材についての説明もありましたが食事療法の原則を中心に紹介します。

がん細胞をしっかり消す食事

内容

がんの発生には様々な要因がありますが、1981年にアメリカのNIHから35%は食事が原因とされ、タバコ・アルコール・薬剤・添加物を含めると70%は口から入るものです。日本では食の欧米化とともにがんの罹患率が上昇し、見た目ではわからない食品添加物も多く摂るようになってきています。遺伝のがんは5%のみで、家族のがん履歴を問診されるのは同じような食生活を送っている可能性があるかを確認するためです。家族にがん履歴があったとしても食生活を見直して免疫力を高めていけばがんは防げるということです。

 

油はボトルの栓を開封して2-3か月経過すると酸化して過酸化脂質に変化し、体内の酸化からがん化につながります。揚げ物油は長時間熱せられることが多いためより酸化している可能性が高いです。一般家庭で使用されるサラダ油などには酸化しやすいリノール酸が多く含まれています。

水道水には殺菌を目的とした塩素やフッ素が含まれています。塩素はトリハロメタンという物質を発生させ、アトピー性皮膚炎や精神疾患の原因につながるリスクがあります。

焦げたものを食べるとがんになるという話は、マウスの実験で大量に投与したらがんが発生したもので、多少の焦げの摂取ではがんの発生はほぼありえず、あくまで都市伝説です。

がん治療の原則は三大療法の手術療法、化学療法、放射線量の3つで、そのうえでの食事療法で、食事療法で免疫力を高め、三大療法でがんと闘う身体を作る時間を確保します。

 

三大療法だけではがんは治らないため、いろいろある食事療法を参考にして免疫力を向上させて治癒力を発揮する済陽式抗がん食事療法の六大原則ができました。

・野菜と果物をたくさん食べる

・塩分は限りなく無縁にする

・動物性たんぱく質・脂質を制限する

・胚芽を含む穀類と豆類・いも類を摂る

・免疫力アップに役立つ食材を摂る

・オリーブオイル、こま油、なたね油を上手に活用する

 

がん体質を変える食習慣スケジュールでは朝食前に搾りたてのジュースを飲み、同じ時間に朝食を摂取し、4時間は空けて昼食を摂取し、21時までには夕食をとる1日3食で、野菜から摂取しましょう。

野菜と果物にはビタミン、ミネラル、酵素、ファイトケミカルが豊富に含まれ、皮や皮の近くに多いため、なるべく皮ごと摂取します。一晩水につけるとかなりの農薬を落とすことができます。野菜や果物を3-5種類組み合わせてミキサーではなくジューサー(低速圧縮タイプが望ましい)を使用して作り、がん患者は1日1.5-2リットルを搾りたてで飲むようにします。無添加で瞬間冷凍されたものなら市販の青汁などでも代用可能です。心臓や腎臓に疾患がある人にはカリウムに制限があるため注意が必要です。

塩分の摂りすぎは胃の粘膜を荒らし発がん性物質が直接胃壁に作用しやすくなり、胃がんの原因となるピロリ菌が住み着きやすくなります。塩分を控えた分は鰹節や昆布から取っただしを十分に効かせ、しょうゆや味噌は減塩タイプにしましょう。

牛・豚・羊などの四足歩行動物のたんぱく質や脂質の摂りすぎは、癌の発生や悪化につながり、動脈硬化も促進させます。動物性脂肪は悪玉コレステロールを増やしてがんの危険因子を増やします。動物性たんぱく質はアミノ酸に分解され酵素の働きでたんぱく質に再合成されますが、その過程で肝臓に負担をかけて抗がん作用を弱めてしまいます。がん体質の改善が進むまでの半年から1年以内は四足歩行動物は一切禁止し、鶏や魚も制限し、鶏肉は皮や脂身の少ない部位の週2-3回少量のみ、魚は酸化しやすい赤身魚は避け白身魚や青魚にします。甲殻類や貝類は大丈夫です。卵は平飼いなどの質のいいものを選ぶと効果的です。

胚芽には栄養成分がたくさん含まれるので、精白米でなく玄米や発芽玄米を1日1-2回食べます。農薬も胚芽に蓄積しやすいので無農薬や低農薬にします。パンやパスタは全粒粉にします。大豆にはイソフラボンが含まれ、ホルモン依存性の乳がんや前立腺癌に特に有効です。動物性たんぱく質を控えるため植物性たんぱく質で補い、多くの大豆食品があるため、様々な種類を毎日の食事に欠かさず取り入れましょう。

腸内の悪玉菌が増えると大腸がんなどのがん発症リスクが高まりますので、ヨーグルト、きのこ、海藻などの菌を有するものを摂取します。ヨーグルトは乳酸菌の数が多いカスピ海ヨーグルトや無添加・無糖・無脂肪を毎日300g目標に摂取します。きのこは栽培環境で栄養の含有量が変わるため、菌床栽培は避け原木栽培がより効果的です。レモンはビタミンCやクエン酸など抗がん効果の高い栄養成分が含まれるため必須で、甘味が欲しい時ははちみつとなります。はちみつは草花でなく樹木から採取され、マヌカや国産のアカシヤから採取したものが大事です。ビール酵母から作られたサプリメントのエビオス錠はおすすめです。

 

現代の食生活ではオメガ6系の多価不飽和脂肪酸に分類されるリノール酸の摂りすぎががんなどの生活習慣病の要因となります。オメガ3系の亜麻仁油やえごま油は過熱に不向きのためドレッシングなどに活用性、オメガ9系の多いオリーブオイル、ごま油、菜種油を使用しますが、量は控えて良質な油を選びましょう。マーガリンやスナック菓子に含まれるトランス脂肪酸は動脈硬化を促進させ、細胞膜の代謝異常をきたして免疫力を下げるので絶対に避けなくてはいけません。日本では表示義務がなくマーガリンやショートニングにいまだに使用されているのが現状です。

それ以外にミネラルウォーターと明記されているものを最低1日1リットルはのみましょう。塩素除去機能が付いた高性能な浄水器を設置し、フィルターの交換頻度はしっかり守りましょう。ただし心疾患がある人は水分制限があるかもしれず注意が必要です。

禁煙が原則で禁煙できない人は禁煙外来を受診しましょう。

アルコールは発がん性物質の吸収を高めて肝臓に負担をかけるため、半年から1年は禁酒が原則です。

感想

西洋医学の三大治療だけではがんは治らないので、食事療法で免疫力を高めて三大治療でがんを治していこうという戦略で分かりやすいです。レシピもあるので実践もしやすいと思いました。

 

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