患者が治すがん治療

著者紹介・はじめに

2013年7月25日初版の主婦の友社から発刊された本で、著者は小井戸一光氏です。小井戸氏は1977年に北海道大学医学部を卒業され、消化器内科とがん診療に従事され、2009年にがん統合医療を行うため医療法人札幌がんフォレストを設立されました。
ここでは触れませんでしたが小井戸氏ががん統合医療を設立されるまでの経緯や低分子フコイダンについての詳細な研究報告もあります。

患者が治すがん治療

内容

人間がなぜがんになるのかわからないけど目の前の患者さんは何とか助けなければならない、という大きな矛盾の中で西洋医学は発展してきた単なる対症療法にすぎません。私がたどり着いたのはがんとは生活習慣病の一つであるということです。がんを治すのはあなた自身で、よくなる可能性も悪化する可能性もすべて自分の手の中にあります。すでにがんを発症してしまってからではいくら生活習慣を改善しても手遅れではないでしょうかという質問をされますが、そんなことはありません。がん細胞を死滅させなくても休眠させれば怖いことはありません。がんはストレス耐性が低い人はなる可能性が高く、ストレスを上手に処理できる生き方の人はなる可能性も低いと報告されたことから、がんは自分自身である程度発症を抑えることでできるということがわかります。がんの部位と発病する人のタイプが異なることも報告され、例えば右乳がんの人は家庭内問題でストレスを抱えている人、左乳がんは体を酷使した経験のある人、肺がんは病気に対する恐怖心が強い人、胃がんは仕事などに頑張りすぎる人、直腸・S状結腸がんは金銭に対するストレスを持つ人、下行~上行結腸がんは肉体的ストレスを持つ人がそれぞれ多いとのことでした。がんが消失した人に共通することは、生き方を変えてこれまでの生活習慣を改めて自分を縛り付けていたストレスから大きく開放されています。抗がん剤ではがんに耐性ができるだけで完全に治すことはできません。抗がん剤も副作用が少なく効果があれば使ってもいいのですが、体内に秘められた自然治癒力の可能性は強力で、その働きを邪魔しないで生きるための機能を呼び戻すために統合医療の様々な手立てを日常生活に組み入れていけば、やがてがん細胞は自然とおとなしくなり転移や再発も抑えられ、生活習慣を改めなさいと警告してくれたがん細胞は役目を終え自然と消滅していきます。

統合医療の治療手段はまずカウンセリングで、非常に細かくプライベートな部分まで立ち入って質問します。10年くらいさかのぼって食習慣、生活習慣をききますが、肝心なことは患者さんご自身でどうしてがんになったかをじっくり考えていただくことです。そのあとは食事指導で塩分を控え、野菜をたくさん摂取し、玄米菜食にし、四つ足動物を食べない、動物性たんぱく質を摂らないことを基本事項とし、私たちの体は食べたものからできていることに気づいてもらいます。郭林新気功の風呼吸で酸素を体内へ取り込みがん細胞弱体化させて免疫を活性化させます。ヨガで活発になりすぎた交感神経を沈静化し、副交感神経優位にしてストレスを軽減させます。ヨガはNK細胞を活性化することが実証されています。がんへの不安をアロマテラピーにて解消し、自分に合う精油を見つければ自宅でも実施可能です。科学的エビデンスのあるサプリメントの低分子フコイダンで、免疫力を強化してがん細胞を自滅(アポトーシス)に誘導させます。免疫細胞療法としてがん細胞を攻撃する免疫細胞を体内から取り出し、体外で培養・活性化して点滴で戻す方法もしていますが、非常に高額で、有効率も35%程度と理論上ほど治療効果も高くなく、それでも状態がよくない人がする治療としては悪くないかもしれません。癌腫の中では肝臓がん、胃がん、脳腫瘍、腎臓がん、前立腺がん、子宮頸がん、大腸がんに効果があるという報告もあります。体だけでなく心の癒しも大事なので、がんの相談会も実施します。安心感を持ってもらうためにいつでも連絡してくださいと言っていますが、実際あまり連絡はありません。がんを発症している患者さん同士仲良くしましょうとも言っています。仲良くできるように宴会を開いたり、がん治療に成功した人の体験談を聞いてもらう機会を作っています。

感想

10年以上前に出版された本で、今は効果が増強されている可能性もありますが、免疫細胞療法は35%程度の効果なんだ。生き方を変えてこれまでの生活習慣を改めて自分を縛り付けていたストレスから大きく開放されることが大事なんですね。

 

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