がんは真菌

著者紹介・初めに

2022年8月2日初版で現代書林から発刊された本です。著者はトゥリオ・シモンチーニという1951年生まれのイタリア人医師です。日本では最近発刊されたようですが、序文の最後に2005年10月12日ローマ 腫瘍学(医学)博士 トゥリオ・シモンチーニ とあるので、2005年にイタリアで発表された本のようですね。

がんは真菌

内容

一般的ながんの生存率は過去25年間変化がありません。腫瘍学の研究理論はがん細胞の異常増殖は遺伝子の突然変異で引き起こされ、がんは常に増殖し続ける細胞集団であるという仮説に基づいています。遺伝子変異をがんの発症原因とする理論は、たとえすべての事象を実験・研究したとしても決定的な結論や結果の同定は不可能であることが明白です。遺伝的要因とがんの発生は何の関連もありませんと強調して言います。遺伝子理論では、がんの発症は多因子の関与によると主張していますが、多因子概念は非常に複雑で曖昧であります。理論的知見から発がん因子は無限大に存在すると認めることは、逆説的に多因子の関与は偽りだと容認することを意味します。多因子ががんの発症に関与しているという理論は破綻した概念であり、深く根付いている科学的な無知を覆い隠すベールであると言えます。

今日の医学において薬は唯一の治療手段として重要視されていますが、症候学的なアプローチには限界があるため薬の有効性理論は破綻し、効果は非常に限定的になります。医師は技術的な資質だけでなく豊かな人間性、自らの経験を礎に個々に最適な目に見えない健康のバランスを回復させることが求められます。一方で患者さんには病気発症の自己責任がないとする傾向があり、道徳的にも患者さん自身が病気を回復させようとする意思や努力が削がれ治療面でマイナスな影響を与えています。身体を最もバランスのとれた健やかな状態にするには、肉体レベルを満たすだけでは十分でなく、霊的意識に立脚する高い視点から自らを癒やしてゆけば、目に見える結果がもたらされ病から解放されます。疾病は様々なレベル・領域で複雑さを増していきますが、低次元の病気が高次元レベルへ影響を与え精神的・霊的な障害を引き起こし、肉体も高次元レベルからの影響をうけ様々な障害が引き起こされます。

乾癬はがんと類似しており、違いは病気の進行度にあります。
乾癬に対して重曹で治療したところ非常に効果があり、それは重曹が真菌を死滅させたからともわかり、不治の病いである乾癬は真菌による疾患であれば、不治の病いであるがんも真菌による疾患と導き出しました。
がんの発生原因は真菌だと認識するのが理論的です。それは真菌が最も組織化した微生物であり、不完全菌として発酵能力を持ち合わせるからです。我々にとって重大な病気は消去法を利用して条件に合わないものを除外してゆくと数少ない病原性真菌の中にあることが判明します。病原性をもたらす真菌は数が限られていますが、消去法を使用するとカンジダ1種のみがんの起因菌だと浮かび上がってきます。
明確な類似点
・無限な増殖
・高熱の発症がない
・疾患の発症が筋肉、神経組織内ではあまり認められない
・限局的な侵襲
・身体の衰弱が徐々に進行する
・あらゆる治療に対する抵抗性を示す
・原発不明の多様な未分化型の疾患が発症する
・症候学的、病態構造的に慢性疾患になりやすい
・形態学的にがん実質と類似している

がんは症候学的に全身性カンジダ症と一致し、さらにがんと真菌は強い遺伝的関連性があります。経験上最も有効な物質は重曹です。一番望むのは製薬会社が優れた技術を駆使して有効性の高いカンジダを消滅させる抗真菌薬の開発をして世界に貢献してもらうことです。
乾癬もがんもカンジダが原因の同じ疾病ですが、生育する領域が異なり、乾癬は生体の外部、がんは生体の内部になり、カンジダの増殖に必要な栄養源が表皮では少なく生育可能な領域が限られているためです。
カンジダの菌糸は微細ですが動物に類似した特徴があり、組織を貪食します。病原性は非常に強く、容易に生化学的・形態的な変換を行いながら組織を侵害します。真菌は組織内に栄養源が少ないほど侵襲性を高め、栄養源が豊富なほど侵入を弱めます。カンジダの形態や特徴が発がん性を決定するのではなく、宿主側の条件・栄養環境がカンジダの侵襲性を決定していると言えます。
日和見感染症とされてきましたが、互いに交配できる柔軟な適応性があり、代謝的に非侵襲性と侵襲性のどちらも意味します。
末期がん患者さんの組織内に真菌を多く認める研究報告が数多く出されています。カンジダとがんの因果関係を立証する数々の報告があります。
あらゆる領域でカンジダが浸潤するため、それに伴う生体の反応ががんの多様性をもたらすと考えられています。
病原性カンジダ菌はいくつかの菌種があり、宿主を侵襲する際に突然変異し多様な菌種となります。

治療について、手術療法は、菌糸体は非常に侵襲性が強く組織内で急速に増殖しますので治療効果は一定ではありません。運良く真菌のコロニーを全摘出できたとしても良性腫瘍のみ有効である治療といえます。
化学療法と放射線療法は良好な治療効果をもたらさないばかりか、薬剤の毒性が正常細胞に障害を与え真菌の侵襲を引き起こします。

重曹溶液は菌糸体の発育を抑制し、コロニーが栄養分を吸収できなくなり壊滅するためです。重曹による治療を学会、インタビュー、会議を通じて広め、経口投与、エアゾール吸入、静脈投与では限界があり、直接腹膜腔、胸膜腔、動脈へカテーテルを挿入する方法を取り入れ解決しました。
重曹による治療は交感神経系の電解質の移動により心不全を引き起こす場合があります。寝たきりの人は排泄困難で、免疫力が弱まっている人では消滅は容易ではありません。手術や放射線療法後では瘢痕にがん細胞が残るケースも多いです。

感想

内容が古く感じられ、2000年頃まではがんの治療成績はあまり向上していませんでしたが、分子標的薬の登場で余命が延長し、免疫チェックポイント阻害剤の登場で長期に生存する方もおられます。それから和訳の問題もあるかもしれませんが、特に最初の方は宗教的要素が強く読み進めるのがちょっと苦痛でした。それでもがんという疾患をご自身の問題と考えて、自らの意思を強く持つ必要があるところは納得でした。

 

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