2014年3月1日初版の、KKベストセラーズより発刊された本で、著者は西脇俊二氏です。西脇氏は弘前大学医学部卒業の元々は精神科医です。ここでは紹介しませんが、精神科医でありながらなぜがん診療をされるになったかなども本の中には書いてあります。
ビタミンC点滴と断糖療法でがんが消える!
内容
ビタミンCとがんの関連は1937年にドイツ人医師アッペルバウムががん患者の血清ビタミンC濃度がゼロに近いことを発見したのが初めてで、1976年アメリカのポーリング医師がビタミンC投与でがんの生存期間が4.2倍伸びたと報告しました。その後メイヨ―クリニックからビタミンCのがんへの有効性は認められないとする報告がでて治療されなくなりましたが、ビタミンCは経口投与だったため効果がなかった可能性が考えられました。2005年にビタミンCはがん細胞を殺す、ただし正常細胞は傷つけないという結論が出て、世界に浸透してきました。日本では2014年現在でこの治療をしている施設は全国で400ほどです。2010年12月29日にFDA(米国食品医薬品局)が米国で超高濃度ビタミンC点滴用ビタミン製剤を製造していたMcGuff社に対して、注射用ビタミン剤を薬事法適用除外から外し新薬製造承認まで出荷を認めないと通達しました。ビタミンCをがん治療に使われると困る何らかの勢力の存在があるのではないかという情報もあります。
血中のビタミンCが超高濃度状態になると、がん細胞の周囲で金属類が反応して過酸化水素が発生し、これががん細胞を攻撃して消失させるのです。正常細胞にはカタラーゼという酵素があり、過酸化水素水を中和してくれるのでダメージを受けることはありません。ただ体内で作用するメカニズムは完全に解明されておらず、がんの種類によっては効果が出にくいものもあります。結腸癌・膀胱癌・腎臓癌・乳癌については優位に生存日数が長いデータがあります。
通常の血中ビタミンC濃度は5.5-16.8μg/mlですが、がんの治療には3500-4000μg/mlまで上げます。ビタミンC溶剤を蒸留水で薄めて1-2時間かけて静脈に投与します。初回は25gを点滴し、2回目以降は50/75/100gのいずれかに増量します。美容目的なら12.5gですが、がん治療には最低50gは必要です。点滴が終わった後血中濃度を維持でいるのは2時間ほどです。アメリカで15年間3万件のビタミンC点滴が行われましたが死亡例は1件も報告されていません。尿路結石になる報告もありません。G6PD欠損の人はこの治療を受けることができません。高血圧の人、腎不全で人工透析を受けている人、心不全の人、腹水が大量にたまっている人、浮腫がある人は危険があるのでかかりつけ医と相談してください。繰り返し点滴する必要があり、点滴療法研究会では週3回以上の点滴を推奨しています。がんが治ってきたら頻度を減らすことも可能です。完治した後も再発防止のため月2回くらい点滴するのをお勧めしています。がんに対してビタミンCのサプリメントは効果の期待できません。口から摂取して体内に吸収されるのは半分以下と考えられています。ビタミンCは熱に弱く製造法も問題になります。費用は点滴療法研究会によるとビタミンC50gの料金設定は平均2万円だそうです。
ビタミンC点滴のメリットは抗がん剤の副作用も緩和します。また抗がん剤の作用を増強する効果もあります。
ただしビタミンC点滴でがんが治癒したというケースは多くはありません。延命効果があることは明らかです。断糖を同時に行うことで治癒率は飛躍的に上がると考えられます。がん細胞の主なエネルギー源はブドウ糖で、血中にブドウ糖が存在していたらビタミンCを取り込もうとしないはずで、そうなるとビタミンCががん細胞を攻撃する頻度は少なくなり、がんの増殖を抑えられなくなるでしょう。治療中についつい糖質を摂ってしまうことも珍しくありませんが、そういう人は例外なく即座にがんが悪化します。
糖質にはいろいろ種類がありますが、消化・吸収される際にはすべて単糖類に分解されます。単糖類のうち果糖とガラクトースは肝臓でブドウ糖に変わります。ビタミンCはブドウ糖と化学構造が似ているため血中のブドウ糖が欠乏したところにビタミンCが投入されるとがん細胞はブドウ糖と間違えて積極的にビタミンCを取り込むと考えられます。炭水化物は3大栄養素といわれますが、エネルギーはタンパク質と脂質からも作られます。脳もタンパク質を十分とっていれば大丈夫です。激しいスポーツをする人、肉体労働をする人にはある程度糖質が必要ですが、それ以外の人は必要なエネルギーをどう摂るか考える必要があります。炭水化物を摂取すると脳内のドーパミンが低下して脳の働きが鈍ります。ドーパミンの低下はうつ病の原因の一つでもあります。炭水化物を制限し、変わりに肉は制限なしというアトキンス博士が提唱したダイエット法は、肥満率が高くなり、糖尿病・心筋梗塞・脳梗塞のリスクが高まるというデータが出ました。動物性脂肪の摂りすぎと思われ、脂肪の少ない赤身の肉と魚も多く食べることも指導しています。野菜のうち根菜類は総じて糖質が多く、葉物類は糖質が非常に少なく安心して食べられる野菜です。ただし茎の部分は比較的糖質が多いです。果物はすべてNGです。がんの治療には糖質1日5gに抑えるように指導しています。アボガド、オクラ、もやし、ブロッコリー、冬瓜、葉物野菜、海藻類がおすすめです。キノコと豆類は食物繊維は多いですが炭水化物もの多いので注意が必要です。肉と魚を食べていれば野菜をとる必要性はなく、ビタミンやミネラルも豊富に含まれています。ビタミンCは肉と魚から摂取できないのでサプリメントでとることをお勧めします。調味料にも糖質が含まれるので注意が必要です。タンパク質と糖質を一緒に熱するとタンパク質が糖化してAGEと呼ばれる体内組織を劣化させる物質を大量に発生させます。お酒は糖質が少なければ大丈夫です。とにかくがんを治す目的なら完全なる断糖を目指すべきです。
ビタミンCを生成する酵素を人間は体内に持っていません。ヤギはビタミンCを合成する能力が高いです。ビタミンCはウイルス感染症予防効果が高く、抗ヒスタミン効果があるので風邪の諸症状を緩和する作用があり、アトピー性皮膚炎にも有効です。ビタミンCは抗酸化作用で炎症を抑える効果があり、ステロイドホルモンの分泌を促すので関節リウマチに有効です。コラーゲンの生成を促進し、メラニンの生成を抑制してシミの予防の美容目的にも有効で、皮膚のターンオーバーのサイクルは約28日なのでだいたい月1回15-25g投与するのが一般的です。運動すると筋肉の中に疲労物質の乳酸がたまり、ビタミンCは乳酸を分解する作用があります。紫外線にあたると活性酸素が増えてビタミンCを激しく消耗しますので、スポーツ後の疲労回復に有効です。また喫煙もビタミンCを大量に消費します。
それ以外のこの本の中では精神科の著者ががんの診療をするようになった経緯や、断糖による体へのいい影響なども詳細に書かれていましたが、がんの治療、ビタミンCの作用を主に抜粋させていただきました。
感想
ビタミンCだけでは治らないとあり、それに厳しい糖質制限をしないといけないということですね。それでもビタミンC大量療法は抗腫瘍効果があり、投与できない人は一部いるものの副作用はなく、抗がん剤治療の副作用を軽減させ、費用的にも超高額ではないため、投与は考慮されますね。糖質制限は継続できるのかが重要ですね。