食品の裏と表

2023年8月10日初版のビジネス社から発刊された本で、著者は小藪浩二郎氏で食品添加物の専門家とあります。著者は製薬会社に勤務されて医薬品・食品添加物などの研究に従事し、現在は食品会社の顧問などをされています。この本は食品添加物などの化学物質の安全性についての知識をもって、食品の闇の部分に微かな光を当てて社会に役立つことをしたいと決心されて書かれたとのことです。

食品の裏と表

内容

食品添加物は一括表示が認められており、具体的にどのような物質が添加されているのか表示しなくてもいいのです。例えばアミノ酸等では、アミノ酸はグルタミン酸が主ですが、アラニン・グリシンなどのアミノ酸が含まれているかもしれず、等にはほとんど合成化合物の有機酸類、核酸系物質、無機塩類が含まれます。乳化剤と表示してあれば合成乳化剤が含まれていると考えられます。イーストフードにも16種類が認められていてどれが使われているのかわかりません。

添加物は動物試験で安全性が確認されていますが、人間での安全性は確認されていません。添加物が化学反応を起こして生成される物質の安全性はわかっていません。

自然界にある天然物から取り出したものとして、乳化剤として使用される大豆レシチン、リンゴなどから採りだし粘度を出す増粘剤として使用されるペクチンなどがあります。

合成添加物とは化学合成で製造する添加物のことで、合成された添加物については安全性の試験がしっかりされますが、化学反応で生成される中間物・副生物といった不純物を調べる検査はしなくてもいいことになっています。不純物の割合には規制値が決められていますが、カラメル色素・乳化剤・加工でんぷんには不純物の規制がなくいくら含まれていてもOKです。これまで不純物により死者が出た例もあります。

天然の食塩は海水を煮詰めて作った場合、海水に含まれた有害物質も一緒に煮詰められ濃縮してしまいますので、食塩は合成品の方が安全です。

レモンなどの自然のビタミンCは水溶性ですが、油に溶ける脂溶性の自然に存在しないビタミンCもあり、ビタミンCは酸化防止の目的で使用されることが多くあり、加工食品に使っているのはほとんど合成化学物質である合成添加物です。

ビタミンB1(チアミン)保存料として使われますが、点々と同じ化学構造のものには保存効果はなく、保存料として使われているのはチアミンラウリル硫酸塩といって天然には存在しないものです。

加工でん粉とは植物の光合成で作られた天然のでん粉に合成化学反応を加えて作られた天然に存在しないでん粉のことです。でん粉とはブドウ糖が数百~数千個結合したもので、そのつながり方によって異なります。でん粉を加工するとその結合がどのようになるかわからず、その結合による違いで人に対する作用は大きく異なります。ちなみにコーンスターチとはトウモロコシのでん粉です。加工でん粉を作るときにたんぱく質が一緒にあると加工でん粉に結合すべき部品がでん粉とタンパク質の両方に結合してしまう可能性があり、合成たんぱく質ができるかもしれません。

グリシンはアミノ酸で、菌の繁殖を抑える作用があり保存料の代わりに使われます。グリシンには眠気を催す作用があり大量に摂取すると居眠り運転が心配になります。

リン酸塩はあらゆる食品に使用され、粘着性を高め保水性をよくし独特のぷりぷりとした弾力が強くなり、すり身を使用した商品ではリン酸塩の表示がなくても添加されていると考えなくてはいけません。リンは人の味方にも敵になり、カルシウム・リン・ビタミンDの欠乏で骨が柔らかくなる骨軟化症になります。リンが欠乏すると発育不良や食欲不振を引き起こします。リンを過剰摂取するとカルシウムの吸収率低下をまねき骨粗しょう症になります。カルシウムだけでなくマグネシウムや鉄の吸収も悪くなり、マグネシウム不足で神経過敏症、筋肉のけいれん、抑うつ症、虚血性心疾患を起こすともいわれています。

食品用着色料の80%がカラメル色素で、これはれっきとした合成着色料です。カラメルは多糖類の物質の混合物で、どんな物質の混合物か不明で、法令上不純物がたくさん含まれていても許されます。カラメルを作るとき副産物として発がん性があるといわれているイミダゾール化合物ができることがあります。カラメルは鮮度を誤魔化すよう食肉、鮮魚介類などに使用することは禁止されていますが、それ以外はいくらでも添加できます。

ハムに添加する亜硝酸塩は肉の成分と反応してピンク色になり、亜硝酸イオンとして規制があるので、ハムに含まれる亜硝酸塩は微々たるもので、野菜に含まれる硝酸イオンが体内で亜硝酸イオンに変化する方がよほど影響あります。ただしハムにもリン酸塩や化学調味料は使用されています。

清涼飲料水に使用されるクエン酸やその塩類は心配ない添加物で、L-酒石酸、乳酸、酪酸とその塩類も規格基準があり安全といえます。

たんぱく加水分解物は食品そのものとして扱われていますが、添加物として扱うべきです。

塩酸と使った加水分解では、残った塩酸に対してカセイソーダなどで中和するので、不純物も大きな問題になる。また塩酸によりアミノ酸その他が化学変化した点々には存在しない様々な物質になるし、突然変異を起こすような物質が生成されることもあり、発がん性が懸念されます。酵素を使った加水分解も様々な不純物を含んだ酵素が使用されるため、婦人物の量や安全性が懸念されます。酸による加水分解物の方がパンチのきいたうま味を持つのでよく使われます。

加工油脂という菜種油などの天然の油脂に化学変化を加えて製造する合成品があり、食用精製加工油脂などと表示されます。液体の油脂に多い不飽和脂肪酸に水素を結合させると、いろいろな硬さの油脂が得られます。マーガリンとは食用油脂に水素・その他を加えて製造した油脂が80%以上のもので、80%未満をファットスプレッドといいます。クッキーなどの菓子類を作るときにサクサク感を出すためにショートニングにも使われていますが、実際どの程度合成食用油脂を使用しているのかわかりません。トランス脂肪酸とは不飽和脂肪酸に水素を結合させるときに生成します。バターにもトランス脂肪酸は少し含まれていて、牛の中に生息している微生物の作用で生成されます。トランス脂肪酸を摂取すると体内のLDLコレステロールが増えます。DHAやEPAは魚に含まれ頭がよくなり脂肪酸とされていますが、不飽和脂肪酸なので水素添加や加熱でトランス脂肪酸が生成されるので何らかの影響があるのではないかと懸念しています。

トランス死亡サインはビタミンの働きを邪魔したり癌の原因になったりするのではないかともいわれています。

アメリカでは2006年からトランス脂肪酸の量も表示することが義務付けられましたが日本では表示していません。

トランス脂肪酸はてんぷら油を高温で加熱しても生成されます。揚げ物はトランス脂肪酸以外にも過酸化物の問題もあります。

ジャガイモに含まれているアミノ酸と糖類が高温の油で揚げる工程で短時間で非常に複雑な化学反応をおこしアクリルアミドという物質が生成されます。アクリルアミドは天然には存在しない物質で発がん性、末梢神経への神経毒性などがわかっております。

亜硝酸はアミン類と化学反応を起こして肝臓がんを起こすニトロソアミンという物質ができます。

HACCP(ハサップ Hazard Analysis and Critical Control Point)といって食品製造工程で発生するあらゆる危害を分析し、特に重点的に衛生管理しなければならない点を定め、これを確実に実行すれば安全性が確保された食品が製造できるという衛生管理の手法です。ISO(国際標準化機構)などもありますが、それを徹底的にしても事件・事故は起こっており不十分で、食に携わる者が素直になり、疑わしきは消費者の利益にという覚悟が必要です。

感想

食品の安全について、添加物の化学反応なども考えるとわからないことだらけで、食品会社も営利企業なので規制は守るけ消費者の安全第一にはなっていないことがわかります。自分のことは自分で守るしかなく、知識をつけて少しでも安全だと思われるものを口にしないといけないと思いました。

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