肺癌診療ガイドライン 悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む 2024年版

日本肺癌学会編集の2024年版です。2003年に出版され、2016年からは悪性胸膜中皮腫と胸腺腫瘍を含めたガイドラインとなっています。2011年以降は毎年Web上で公開され、隔年で書籍が発行されています。

肺癌診療ガイドライン 悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む 2024年版

肺癌の検出には胸部X線とCTは強く推奨されます。50歳以上で喫煙指数600以上のハイリスク群では喀痰細胞診も強く推奨されます。PET/CTと腫瘍マーカーは行わないことは弱く推奨されます。 高分解能CTで肺癌か判断できない結節に対して、造影CTやMRIは弱く推奨され、PET/CTは強く推奨されますが、1cm以下の結節に対するデータは少ないです。10mm未満の充実型結節、15mm未満の部分充実型結節、すりガラス型結節で充実部が5mm以下の結節では、高分解能CTによる経過観察することが強く推奨されます。 中枢気道病変が疑われる症例には気管支鏡検査が強く推奨され、早期癌が疑われる症例には、白色光による気管支鏡検査に自家蛍光観察や狭帯域光観察の併用も弱く推奨されます。肺癌を疑う肺末梢病変に経気管支生検・ラジアル型EBUSは強く推奨され、仮想気管支鏡ナビゲーションは強く推奨されます。クライオ生検をするだけの根拠は明確ではありません。経気管支生検で診断が困難な症例に対しては、空気塞栓や胸膜播種などの重篤な合併症を考慮のうえ、CTガイド下経皮針生検は弱く推奨されます。外科的生検は気管支鏡より侵襲が大きく、その必要性を十分に考慮したうえでの実施が弱く推奨されます。気管支に接する病変にはコンベックス型EBUS-TBNAは強く推奨されます。中枢気道病変に対するクライオ生検は弱く推奨されます。 肺癌の組織診断、バイオマーカー診断のため、適切な標本を用いることが強く推奨されます。バイオマーカーの検索に細胞診検体の使用は弱く推奨されます。形態学的評価・組織型同定が困難、分化傾向の不明瞭な非小細胞肺癌や、転移性の可能性がある場合には免疫染色が強く推奨されます。術前に未診断の場合の術中迅速診断は強く推奨されます。手術中に採取された胸腔内洗浄細胞診は弱く推奨されます。術前に治療された切除標本に対しての病理学的評価は弱く推奨されます。 病期診断のために胸部造影CTとFDG-PET/CTは強く推奨され、MRIはT因子がはっきりしない場合は強く推奨、N因子には弱く推奨されます。縦隔リンパ節転移の有無で治療方が異なる症例では、超音波内視鏡検査による病理学的診断の実施は強く推奨されますが、縦隔鏡などの外科的生検の実施を勧める根拠は明確ではありません。M因子のため頭部造影MRIは強く推奨されます。FDG-PET/CTで単発の遠隔転移が疑われた場合、可能な限り他の画像診断や病理学的診断で転移であることの確認は弱く推奨されます。 非小細胞肺癌の手術例では、EGFR、ALKの遺伝子検査、PD-L1免疫組織化学染色検査、進行・再発非小細胞肺癌の場合は、それに加えてROS1、BRAF、MET、RET、KRAS、HER2の遺伝子検査が強く推奨され、優先順位はつけずに同時実施が推奨されます。第一・二世代EGFR-TKIに治療抵抗性となった進行・再発非小細胞肺癌にはEGFR遺伝子変異検査が強く推奨されます。肺癌でもNTRK融合遺伝子検査、MSI検査、TMB検査は強く推奨されます。 非小細胞肺癌の手術適応決定のため、呼吸機能・循環機能をはじめ総合的に評価・検討をすることが強く推奨されます。臨床病期Ⅰ-Ⅱ期で標準手術可能な患者には外科的手術が強く推奨されます。臨床病期ⅠA1-2期で、充実成分最大径/腫瘍最大径比≦0.25には縮小手術、0.25<充実成分最大径/腫瘍最大径比≦0.5には区域切除、充実成分最大径/腫瘍最大径比>0.5には区域切除または肺葉切除が強く推奨されます。臨床病期ⅠA3-Ⅱ期非小細胞肺癌で外科切除可能な患者に対して肺葉以上の切除が強く推奨されます。臨床病期Ⅰ期の外科治療可能でも標準手術が不可能な患者には縮小手術が強く推奨されます。 臨床診断でN2の治療方針では、呼吸器外科医、内科医、放射線治療医を含めた集学的治療グループでの検討が強く推奨されます。臨床病期ⅢA-T4N0-1非小細胞肺癌には外科的手術が強く推奨されます。 臨床病期T3N0-1M0の胸壁・心膜浸潤非小細胞肺癌には合併切除が強く推奨されます。 切除可能な非小細胞肺癌に対して、リンパ節郭清もしくはサンプリングを行い病理学的評価が強く推奨されます。肺全摘は避けて、気管支・肺動脈形成を強く推奨されます。 同一肺葉内結節で転移(PM1)もしくは多発肺癌を疑う臨床診断N0症例や、同時性肺葉内結節で多発原発性肺癌を疑う症例は手術が強く推奨されます。同時性肺内転移(PM2,3)を疑う症例では、手術をしないことが弱く推奨されます。異時性多発肺癌には耐術能があれば手術が強く推奨されます。 臨床病期Ⅰ期非小細胞肺癌には胸腔鏡下肺切除が強く推奨され、ロボット支援下肺切除は弱く推奨されます。 外科切除後の非小細胞肺癌に対して定期的な経過観察が強く推奨されますが、ASCOでは2年までは副腎まで含めた胸部造影CTを半年毎、その後は1年毎の低線量胸部CTを推奨しています。禁煙を行うことも強く推奨されます。 切除可能な低悪性度腫瘍(カルチノイド、粘表皮癌、腺様嚢胞癌)は、非小細胞肺癌に準じた外科治療が強く推奨されます。 中心型早期肺癌の中で、腫瘍全体にレーザー照射が可能な長径1.0cm以下の病巣を対象に、光線力学的治療法(PDT)は強く推奨されます。 肺癌胸部放射線は、CTを用いた3次元治療計画を行い、3次元的な線量分布図およびDVHを常に検討すること、腫瘍の呼吸による動きを評価し、その程度に応じた呼吸性移動対策を講じること、品質管理を適切に行うことが強く推奨されます。 臨床病期Ⅰ-ⅡA期に対して、術前プラチナ製剤併用療法を行わないこと、N3症例を除いて、臨床病期Ⅱ-ⅢB期のEGFR遺伝子変異/ALK融合遺伝子陰性もしくは不明例に対して、術前にプラチナ製剤併用療法とニボルマブ併用した治療を行うこと、臨床病期Ⅱ-ⅢB期に対して術前にプラチナ製剤併用療法とペムブロリズマブを併用して術後にペムブロリズマブの追加を行うこと、切除可能な臨床病期ⅢA-B期に対して術前化学療法を行うことはいずれも弱く推奨されます。 病変全体径>2cmの術後病理病期ⅠA3-ⅢA期(N0)完全切除に対してテガフール・ウラシル配合剤療法(1-2年内服)は、腺癌には強く推奨され、非腺癌には弱く推奨されます。術後病理病期Ⅱ-ⅢB期完全切除症例に対してシスプラチン併用化学療法(4サイクル)を行うことは強く推奨され、EGFR変異陽性術後病理病期Ⅱ-ⅢB期完全切除症例に対して、術後補助化学療法後にオシメルチニブを追加(3年間内服)することは弱く推奨されますが、プラチナ製剤をせずにEGFR-TKI治療を勧めるだけの根拠は明確ではありません。ALK融合遺伝子陽性の術後病理病期Ⅱ-ⅢB期完全切除症例に対して、従来の術後補助化学療法の代わりにALK-TKI治療(2年間内服)をすることは弱く推奨されます。術後病理病期Ⅱ-ⅢB期完全切除症例に対して、PD-L1の発現50%以上例にはシスプラチン併用化学療法後にアテゾリズマブ単剤療法の追加(1年間)は弱く推奨されますが、PD-L1の発現1-50%ではアテゾリズマブを追加する根拠は明確ではありません。 術後病理病期Ⅰ-Ⅱ期完全切除例に対して術後放射線療法を行わないことは弱く推奨されます。術後病理病期Ⅲ期(N2)完全切除例に対して、術後放射線療法を勧める根拠は明確ではありません。臨床病期Ⅱ-ⅢB期に対して、術前プラチナ製剤併用療法は手術単独療法と比べて全生存期間の延長が示されていますが、1%程度の治療関連死や手術施行率の低下も報告されています。 医学的な理由で手術不可や手術を希望しない場合のⅠ-Ⅱ期非小細胞肺癌に対して、根治的放射線治療が強く推奨され、肺葉以上の切除が必要なⅠ-Ⅱ期非小細胞肺癌には根治的放射線治療は弱く推奨されます。 組織学的に診断ができずに手術ができない臨床的に原発性肺癌と診断された孤立性肺腫瘍に対して、根治的放射線治療を勧める根拠は明確ではありません。 Ⅰ期非小細胞肺癌の根治的放射線治療の適切な照射法は、線量の集中性を高める高精度放射線治療技術を用いることが強く推奨されます。 切除不能局所進行非小細胞肺癌、PS0-1の患者に対して、化学放射線療法は強く推奨され、化学療法と放射線療法は同時併用が強く推奨され、化学療法はプラチナ製剤と第三世代以降の細胞傷害性抗癌薬を併用した治療(CBDCA+PTXやCDDP+DTX)が強く推奨されます。シスプラチン一括投与が不適な高齢者に対しては、連日カルボプラチン投与による化学放射線療法が弱く推奨されます。同時化学放射線療法後に、異なる細胞傷害性抗癌薬に変更しての地固め化学療法を行わないことは弱く推奨され、デュルバルマブによる地固め療法(最大1年間)を行うことは強く推奨されます。化学放射線併用時、総線量は通常分割で少なくとも60Gyを用いること、74Gyの高線量照射は行わないこと、標的病変に十分な線量を投与し、正常臓器の毒性を低減するような照射野を設定することが強く推奨されます。化学療法併用不能の場合は放射線単独療法が強く推奨され、通常分割照射で少なくとも60Gyを用いることが強く推奨されます。 切除可能な肺尖部胸壁浸潤癌に対して術前化学放射線療法後に外科治療を実施する集学的治療を強く推奨します。 Ⅳ期非小細胞肺癌に対して、エクソン19欠失またはL858R変異のEGFR遺伝子変異陽性でPS0-1の一次治療は、オシメルチニブ単剤療法が強く推奨され、エルロチニブ+血管新生阻害薬、ゲフィチニブ+CBDCA+PEM、オシメルチニブ+プラチナ製剤+PEMは弱く推奨されます。PS2ではEGFR-TKIが強く推奨され、ゲフィチニブ+CBDCA+PEMを勧めるだけの根拠が明確ではありません。PS3-4ではゲフィチニブ単剤療法が強く推奨されます。エクソン20の挿入変異を除く、エクソン18-21変異のuncommon mutationに対して、アファチニブ単剤療法が強く推奨され、オシメルチニブ単剤療法は弱く推奨され、EGFR-TKI未治療のT790M変異にはオシメルチニブ単剤療法が強く推奨されます。エクソン20の挿入変異に対して、カルボプラチン+ペメトレキセド+アミバンタマブが強く推奨され、EGFR-TKI単剤療法は行わないことが強く推奨されます。一次治療オシメルチニブ以外のEGFR-TKI耐性または増悪後のT790M変異陽性例に対して、オシメルチニブ単剤療法が強く推奨され、T790M変異陰性なら、CBDCA+PTX+アテゾリズマブが弱く推奨されます。EGFR変異陽性例に免疫チェックポイント阻害薬単独療法を行うことを勧める根拠は明確ではありません。 ALK融合遺伝子陽性の一次治療は、PS0-1の場合はアレクチニブ単剤療法とロルラチニブ単剤療法が強く推奨され、ブリグチニブ単剤療法は弱く推奨されます。PS2-4の場合はアレクチニブ単剤が強く推奨されます。アレクチニブ耐性または増悪後は、ブリグチニブ、ロルラチニブ、セリチニブのALK-TKI単剤療法が弱く推奨されます。 ROS1融合遺伝子陽性例には、ROS1-TKI単剤療法(クリゾチニブ、エヌトレクチニブ、レボトレクチニブ) が強く推奨されます。 BRAF遺伝子V600E変異陽性にはダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法が強く推奨されます。 MET遺伝子変異陽性にはMET-TKI単剤療法(テポチニブ、カブマチニブ、グマロンチニブ)が強く推奨されます。 RET融合遺伝子陽性にはセルベルカチニブが強く推奨されます。 NTRK融合遺伝子陽性にはTRK-TKI単剤療法(エヌトレクチニブ、ラロトレクチニブ)が強く推奨されます。 KRAS遺伝子G12C変異陽性には、二次治療以降でソトラシブが強く推奨されます。 HER2遺伝子変異陽性には、二次治療以降でトラスツズマブ・デルクステカン単剤療法が強く推奨されます。 ドライバー遺伝子変異/転座陽性例にPS2なら上記の治療が強く推奨されますが、PS3-4では弱く推奨となります。 ドライバー遺伝子変異/転座陰性、PS0-1でPD-L1 TPS 50%以上の一次治療は、ペムブロリズマブもしくはアテゾリズマブ単剤療法、プラチナ製剤併用療法にPD-1/PD-L1阻害薬を併用した治療が強く推奨され、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法やPD-1/PD-L1阻害薬+CTLA-4阻害薬にプラチナ製剤併用療法を併用した治療を勧める根拠が明確ではありません。PD-L1 TPS 1-49%では、プラチナ製剤併用療法にPD-1/PD-L1阻害薬を併用した治療が強く推奨され、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法やPD-1/PD-L1阻害薬+CTLA-4阻害薬にプラチナ製剤併用療法を併用した治療は弱く推奨され、ペムブロリズマブ単剤療法を推奨する根拠は明確ではありません。PD-L1 TPS 1%未満では、プラチナ製剤併用療法にPD-1/PD-L1阻害薬を併用した治療が強く推奨され、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法やPD-1/PD-L1阻害薬+CTLA-4阻害薬にプラチナ製剤併用療法を併用した治療は弱く推奨されます。 ドライバー遺伝子変異/転座陰性、PS2の一次治療では、PD-1/PD-L1阻害薬単剤療法、カルボプラチン併用療法、細胞傷害性抗癌薬単剤療法が弱く推奨されます。 PS3-4では薬物療法を行わないことが強く推奨されます。 PS0-2の二次治療以降では、ドセタキセル±ラムシルマブ療法、ペメトレキセド単剤療法、S-1単剤療法、パクリタキセル単剤療法が強く推奨されます。ドセタキセルにラムシルマブの併用は、PS0-1では併用療法が弱く推奨され、75歳以上やPS2症例では併用しないことが弱く推奨されます。 臨床病期Ⅰ-ⅡA期N0の小細胞肺癌に対して外科治療が強く推奨され、完全切除例に対してプラチナ製剤併用療法も強く推奨されます。医学的な理由で手術できない時は、定位照射の放射線照射が弱く推奨されます。PS0-2の限局型小細胞肺癌に対して化学放射線療法が強く推奨され、早期同時併用で加速分割照射法がが強く推奨されます。同時併用する薬物療法はシスプラチンとエトポシドが強く推奨され、シスプラチン投与困難な場合カルボプラチンとエトポシド療法後に逐次放射線療法を行うことが弱く推奨されます。PS3の限局型小細胞肺癌に対しては薬物療法が弱く推奨され、PS4では薬物療法を勧める根拠が明確ではありません。 PS0-1の進展型小細胞肺癌に対する一次治療は、プラチナ製剤/エトポシド併用療法+PD-L1阻害薬が強く推奨されます。PS2の進展型小細胞肺癌ではプラチナ製剤+エトポシドまたはイリノテカン併用療法が強く推奨されます。PS3にはカルボプラチン+エトポシドあるいはsplit PE療法が勧められ、PS4には薬物療法を行わないことが弱く推奨されます。 限局型小細胞肺癌の初回治療で完全寛解が得られた症例に対して予防的全脳照射を行うことが強く推奨されます。認知機能維持を目的として海馬を避ける照射も検討されていますが、その意義は現時点でははっきりしません。照射量は25Gy/10回相当が弱く勧められます。進展型小細胞肺癌の薬物療法後の予防的全脳照射は行わないことが弱く推奨されます。 PS0-2の再発小細胞肺癌は、初回治療終了後から再発までの期間が60-90日以上の長いsensitive relapseに対して、ノギテカン単剤療法、シスプラチン+エトポシド+イリノテカン療法、アムルビシン単剤療法、カルボプラチン+エトポシド療法が強く推奨されます。短い期間に再発するrefractory relapseには、アムルビシン単剤療法が強く推奨されます。PS0-1の再発小細胞肺癌に対して、三次治療以降にタルラタマブ療法を行うことが弱く推奨されます。 骨転移に対して、症状を有するものには放射線治療が強く推奨され、通常照射20Gy/5回、30Gy/10回などが強く推奨され、8Gy単回の通常照射や脊髄転移に対する体幹部定位放射線治療は弱く推奨されます。病的骨折の危険性が高い骨転移や、脊髄転移が脊髄圧迫を生じている骨転移に対しては放射線治療が強く推奨され、外科治療は弱く推奨されます。骨転移の骨関連事象の抑制目的で、ゾレドロン酸またはデノスマブの骨修飾薬の投与は強く推奨されます。デノスマブ使用時は低カルシウム血症予防のため、カルシウム製剤とビタミンD製剤の補充が推奨されます。 脳転移に対して、脳以外の病巣がコントロールされ、単発の脳転移に対して定位放射線照射や外科治療が強く推奨されます。症状を有する脳転移に対して放射線治療が強く推奨され、症状を有する単発性脳転移に対して腫瘍摘出術が弱く推奨されます。多発性脳転移に対して全脳照射が強く推奨され、非小細胞肺癌の場合、4個以下で腫瘍径3cm程度までは定位放射線照射が強く推奨され、5-10個では定位放射線照射は弱く推奨されます。小細胞肺癌の場合は、10個までなら定位放射線照射は弱く推奨されます。手術や定位放射線照射に全脳照射の併用は行わないことが弱く推奨され、髄膜癌腫症に対しての薬物療法・放射線治療は勧める根拠が明確ではありません。無症候性脳転移にな薬物療法が強く推奨されます。 縦隔・肺門病変による気道狭窄、上大静脈狭窄など胸郭内の腫瘍増大に伴う緩和を目的とした放射線治療は強く推奨されます。 癌性胸膜炎に対して胸腔ドレナージ後には胸膜癒着術が強く推奨されわ薬物療法未治療例には胸膜癒着術に代わり薬物療法を行うことが弱く推奨されます。心嚢穿刺・ドレナージを要する癌性心膜炎に対しては、心膜癒着術が弱く推奨されます。 Ⅳ期非小細胞肺癌の転移臓器・転移個数が限られているオリゴ転移では、病勢が安定している場合局所治療の追加を行うことが弱く推奨されます。 進行・再発肺癌患者には、診断早期が専門的な緩和ケアの提供を行うことが強く推奨されます。専門的な緩和ケアとは、協働包括的緩和ケアチームにより患者と患者の生活支援者との意思疎通をはかり信頼関係を構築し、患者の身体的苦痛、心理・社会的苦痛などトータルペインを評価して緩和し、疾患と予後について理解度を評価して正確な理解を促し、治療の目標を明確にし、患者の行動を評価して支援・強化し、意思決定の支援を行い、他の医療・ケア提供者との協調が保てるようにし、必要時は他の医療・ケア提供者に紹介します。悪液質を呈する切除不能・進行非小細胞肺癌に選択的グレリン受容体刺激薬(アナモレリン)投与は弱く推奨されます。 胸膜中皮腫の存在診断には胸部造影CTが強く推奨され、胸部MRIやFDG-PET/CTを行わないことが強く推奨されます。胸膜病変の良悪性の鑑別にも胸部造影CTが強く推奨され、胸部MRIやFDG-PET/CTを行わないことが強く推奨されます。 末梢血中のマーカーや、胸水中のマーカーやヒアルロン酸で中皮腫の確定診断を行わないことが強く推奨されます。確定診断のためには全身麻酔下の外科的胸膜生検により十分な量の生検を行うことが強く推奨され、外科的胸膜生検の適応がない腫瘤形成のある症例では、CTガイド下針生検をまず行うことが強く推奨されます。確定診断のためには、組織採取後速やかに10倍量の固定液を用いて、10%中性緩衝ホルマリン固定し、固定時間6時間から48時間の固定が望ましいです。細胞診用の体腔液検体の場合は、可能な限りセルブロックを作成することが強く推奨されます。上皮様中皮腫と肺腺癌の鑑別に、複数の抗体パネルを用いた免疫組織化学を行うことが強く推奨されます。上皮様中皮腫の病理診断では、グレード分類の記載を行うことが弱く推奨されます。前浸潤性中皮腫の診断に、BAP1、MTAP免疫染色を行うことが強く推奨されます。線維形成性中皮腫と線維性胸膜炎の鑑別診断に、CDKN2A FISHを行うことが強く推奨されます。肉腫様中皮腫と肺肉腫様癌の鑑別診断には、病理診断では診断困難で、補助診断を行い、画像情報も含めて総合的判断を行うことが強く推奨されます。 胸膜中皮腫の病期診断には胸部造影CTとFDG-PET/CTが強く推奨され、胸部MRIは行わないことが強く推奨されます。 臨床病期Ⅰ-ⅢA期の切除可能中皮腫に対して、外科的手術を行うことが強く推奨されます。耐術能のある切除可能中皮腫には、術式として胸膜切除/肺剥皮術が強く推奨され、胸膜肺全摘術は弱く推奨されます。二相性中皮腫は外科治療を行うことが弱く推奨されますが、肉腫様中皮腫に外科治療を行わないことが弱く推奨されます。切除可能な限局した局所再発に対して、局所切除を行うことが弱く推奨されます。切除可能な胸膜中皮腫に対し、術前もしくは術後の化学療法を行うことが強く推奨され、薬剤はシスプラチン+ペメトレキセドの併用療法が強く推奨されます。 胸膜肺全摘術の術後に片側胸郭照射を行うことが弱く推奨され、3次元原体照射(3D-CRT)や強度変調放射線治療(IMRT)は弱く推奨されます。胸膜切除/肺剥皮術の術後または手術非適応症例に放射線治療は行わないことが弱く推奨されます。 PS0-2の一次治療に免疫チェックポイント阻害薬併用療法が強く推奨され、プラチナ製剤併用療法は弱く推奨されます。PS0-2の高齢者には免疫チェックポイント阻害薬の併用療法とプラチナ製剤併用療法はどちらも弱く推奨されます。PS3-4には薬物療法を行わないことが強く推奨されます。シスプラチン+ペメトレキセド投与後は、ペメトレキセドの維持療法はしないことと、ゲムシタビンによる維持療法が弱く推奨されます。PS0-2の二次治療では、ニボルマブ未使用例ではニボルマブ単剤療法が強く推奨され、ペメトレキセド単剤療法、ビノレルビン単剤療法、ゲムシタビン単剤療法、ビノレルビン+ゲムシタビン併用療法が弱く推奨されます。一次治療のシスプラチン+ペメトレキセドにベバシズマブを追加は弱く推奨されます。胸水ドレナージ後に胸水コントロール目的に胸膜癒着術を行うことが弱く推奨されます。 胸腺上皮性腫瘍が疑われる場合、血清アセチルコリン受容体抗体の測定と、赤芽球癆の存在確認のため血球算定は強く推奨され、血清γグロブリンの測定は弱く推奨されます。 胸腺上皮性腫瘍の検出に胸部CTは強く推奨され、縦隔病変の鑑別診断には造影CTが強く推奨されます。造影剤投与不能例、胸腺過形成、嚢胞性病変、その他の腫瘍との鑑別にMRIは弱く推奨されます。 切除不能、術前治療を計画する、他疾患との鑑別が必要な場合は経皮針生検が強く推奨され、切除可能と判断されれば経皮針生検を行わないことが強く推奨されます。病期診断のためには上腹部を含めた胸部造影CTが強く推奨され、造影剤が使用できない場合は胸部MRIが弱く推奨されます。FDG-PETは勧められるだけの根拠が明確ではありません。 臨床病期Ⅰ-Ⅱ期胸腺上皮性腫瘍には外科切除が強く推奨され、腫瘍の完全切除および胸腺摘出術が強く推奨されます。胸腔鏡下あるいはロボット支援の切除をアプローチの一つとして行うことが弱く推奨されます。臨床病期Ⅲ期に対して、腫瘍の完全切除を伴う胸腺摘出術が強く推奨されます。完全切除が困難な臨床病期Ⅲ期に対して集学的治療が強く推奨されます。臨床病期Ⅲ期で横隔神経浸潤が認められる場合、重症筋無力症などの合併症を有する症例では、横隔神経を合併切除せずに温存することも考慮してもいいです。両側横隔神経浸潤を伴う症例では、片側の横隔神経を温存することが弱く推奨されます。臨床病期Ⅳ期に対して集学的治療は強く推奨されます。肉眼的完全切除が可能な臨床病期Ⅳ期では外科切除が弱く推奨されます。完全切除が困難な胸腺腫に対しては減量手術も弱く推奨されます。 胸腺上皮性腫瘍の切除に際して、高悪性度症例や進行症例において、正しい病期診断目的に、リンパ節郭清・サンプリングは弱く推奨されます。 完全切除されたⅠ・Ⅱ期胸腺腫に対して術後放射線療法を行わないことが弱く推奨されます。完全切除されたⅢ期胸腺腫に対して、術後放射線療法を勧める根拠は明確ではありません。 完全切除されたⅠ期胸腺癌に対して術後放射線療法を行わないことが弱く推奨され、Ⅱ・Ⅲ期胸腺癌に対しては術後放射線療法が弱く推奨されます。顕微鏡的または肉眼的不完全切除となった胸腺上皮性腫瘍に対して術後放射線療法または術後化学療法が強く推奨されます。 切除不能胸腺上皮性腫瘍に対しては、放射線治療または化学放射線療法が強く推奨されます。 胸腺上皮性腫瘍に対する放射線治療の基本事項は、少なくとも3D-CRTで、照射標的体積は腫瘍床および残存病巣として行うこと、予防的縦隔鎖骨上リンパ節領域照射は原則的に行わないこと、線量分割は1回1.8-2Gyの通常分割法で、術後放射線療法は完全切除例では40-50Gy、顕微鏡的不完全切除例では50-54Gy程度、肉眼的不完全切除例では54-60Gy程度が勧められます。照射には心臓への線量Ⅱ配慮することが勧められます。 臨床病期Ⅳ期または再発胸腺腫に対して薬物療法は強く推奨され、シスプラチンとアンスラサイクリン系抗癌薬の併用療法が強く推奨されます。一次治療不応となった胸腺腫に対しての薬物療法は弱く推奨されます。局所進行胸腺腫に対して術前化学療法は弱く推奨されます。 臨床病期Ⅳ期または再発胸腺癌に対して薬物療法は強く推奨され、カルボプラチンとパクリタキセルまたはアムルビシンの併用療法が弱く推奨されます。一次治療不能となった胸腺癌にはレンバチニブや細胞傷害性抗癌薬のS-1、アムルビシン、ペメトレキセドが弱く推奨されます。局所進行胸腺癌に対して、薬物療法または放射線療法を術前治療として行うことが弱く推奨されます。 胸腺上皮性腫瘍の根治治療後、胸腺腫の場合10年以上、胸腺癌の場合は5年以上の経過観察が弱く推奨されます。胸腺癌を除いた切除可能な再発胸腺上皮性腫瘍に対しては外科切除や、外科切除も含めた集学的治療が弱く推奨されます。 偶発的に発見された小さな前縦隔病変に対して、充実性病変が疑われる場合は外科切除が強く推奨され、嚢胞が疑われる場合は外科切除を行わないことが強く推奨されます。

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