著者紹介
2024年4月25日初版の幻冬舎から発刊された本で著者は清水忍氏です。清水氏は1967年生まれの健康運動指導士で、プロアスリートのパーソナルトレーナーとしてもご活躍されています。
ロジカルダイエット
内容
ダイエットの考え方をロジカルに改めてスタートを切るべきですが、ここではやせること= 体脂肪が落ちることと決めておきます。
過去に流行ったダイエット法の検証です。
りんごダイエットなどの単品ダイエットは、カロリーが低めで腹持ちのいい特定の食品を多めに摂って、総摂取カロリーを減らそうというのが基本スタイルですが、体に大きな無理をかけ一時的にやせても必ずリバウンドするでしょう。自分に都合のいい解釈をして実践してしまっている人が少なくありません。
食べ順ダイエットは、最初に野菜を食べて30分くらい経ってから肉やご飯を食べるのであれば、トータルの食事摂取量を減らすのに役立つと思いますが、そうでなければ全部すぐに胃の中で混ざって、どれも一緒に食べているのと変わりません。
置き換え系ダイエットは、食事内容によっては摂取カロリーを減らすことにもつながりますが、ほとんど置き換えて極端な食生活になったり、置き換えずにプラスするだけになる人も見受けられます。
ファスティングダイエットは、そもそもファスティングの目的は本来内蔵を休ませて機能を回復させることにありますので、まずは目的が違います。食べなければもちろんやせますが、かなり急激に体重が減少するので、ファスティング後に大きくリバウンドしてしまうケースが少なくありません。食事をしないと脂肪よりも先に筋肉が落ちて身体機能が低下したりするケースも目立ちます。
糖質制限系ダイエットは、糖質を控えて血糖値の上昇を抑え確実にやせます。糖質摂取を極端に減らすと体を動かすエネルギー源がブドウ糖から脂肪へ移行し、ケトジェニックダイエットとなります。糖質の摂取を1日50gまでに減らして脂肪やたんぱく質をどんどん摂る方法です。糖質摂取を0にするのは我慢や忍耐を必要とするので、つらすぎて到底長続きしない人が多く避けるべきと考えます。糖質を減らすと筋肉が落ちやすくなるデメリットもあります。
サプリメント系ダイエットは、脂肪吸収のブロック・エネルギー消費を高めるなどの効果が書かれていてその効果はあるかもしれませんが、その効果に安心してかえって食べてしまうパターンがありがちです。
運動系ダイエットは、しっかり運動してもやせないと訴える人が多く、運動は期待するよりもカロリー消費が少ないからです。やってる感は得られるものの効果は低いです。
短期集中型ダイエットジムは、筋トレでは脂肪は燃えず、CMで成功するのを見かけるのは厳しく食事の管理をしているからです。食事でやせて筋トレで筋肉量をキープするというシステムなのです。食事の管理がはずれて食べたい衝動が抑えられなくなると一気にリバウンドしてしまう人も多いと聞きます。
ビリーズブートキャンプのような過激エクササイズ系ダイエットは、あのような激しい有酸素運動を毎日やり続けたのならやせていくことになりますが、毎日できますかという話です。
家でできるルームランナーも、ずっと走り続けたという人はほとんどいないのではないでしょうか。バランスボールは体幹の筋肉を鍛える効果はありますが、やせる効果はほぼありません。ぶら下がり健康機は姿勢はよくなりますがやせません。
レコーディングダイエットもあり、食べたものをレコーディングするのは賛成ですが、その日の体重をただレコーディングするだけなのは賛成しかねます。体重は誤差が生じるのでその結果に一喜一憂するのは厳禁です。
低周波や振動で筋肉を刺激する器具があります。あのような刺激は筋肉をつけるのにある程度効果的ですが、やせる効果はありません。
便秘解消系ダイエット、発汗系ダイエットは一時的に体重は減っても体脂肪は減りません。
ダイエットでどうすればやせるのかをロジカルに突き詰めると、最終的に残るのはカロリーの出し入れで、トータルのカロリーがプラスなら太り、マイナスならやせるというシンプルな話です。そこで鍵を握るのは食事と運動です。ただし運動をがんばってもやせることはできないのですが、筋力や心肺機能を引き上げて日常のカロリー消費量を増やすために必要なことですダイエットは食事が9割といってもいいでしょう。
人間は食べられなくなった時のための備蓄エネルギーが必要で、それは糖質か脂肪のどちらかです。糖質はグリコーゲンという形で肝臓や筋肉にストックされるものの400gほどしか蓄えられず、ちょっとでも運動するとすぐになくなってしまいます。脂肪は大容量のエネルギーを出すことができてコンパクトに収納していくらでも蓄えられます。脂肪がたまるのはエネルギーの摂りすぎということになります。脂肪を減らすには食事をコントロールしてたまらないようにして使用さらて出ていく状況を作っていかなくてはなりません。消費カロリーを多くすることも大切ですが、筋トレでは消費されるのは実質的にほぼ糖質で、体脂肪は減らすことにつながりません。有酸素運動では最初糖質と脂肪の混合物が使われ、その後20分ほど経つと脂肪が優先的に使われるようになりますが、期待している量と比べて消費されるカロリーエネルギーはごくわずかです。
運動でやせられないと信じられない方もいるかもしれませんが、体脂肪1kg落とすには7000kcalを消費する必要があり、ウォーキング30分で消費されるカロリーはだいたい120kcal、ジョギング30分ではだいたい250kcalです。ですから 毎日5時間のウォーキングか2時間のジョギングを60日続けられたら10kgやせることも可能ですができますか。フルマラソン走ってもカロリー消費は300kcal以下であり、1kg減らすこともできません。
食事でカロリーを抑えるほうが運動で頑張るよりもラクではるかに合理的です。カツ丼を海鮮丼にするだけで500kcal減らせますが、運動では1時間走り続けなくてはなりません。しかし運動も不可欠で、日々のカロリー消費量を増やすためには活動量がカギになると考えています。活動量の多い人は、何かの行動をするときに体を動かすことをまったく苦にしません。そういう人は必ずやせていて、活動量は少ない人は必ずと言っていいほど太っています。活動量を引き上げるには筋力や心肺機能を上げなくてはなりませんが、筋力には筋トレ、心肺機能には有酸素運動を行うことが不可欠です。これがやせやすい体を作る土台となります。筋肉量が多ければ多いほど、カロリーやエネルギーをたくさん使って体を動かすことができるようになります。筋肉が発達してもじっとしていたやカロリーは消費せず、基礎代謝が上がってやせるわけではありません。筋トレせずに食事制限を行うとてきめんに筋肉が落ちます。筋肉が減少すると、本能的に生命活動存続の危機と感じ、食べろという体の声が起こり、それに抗えずドカ食いしてリバウンドしてしまうのです。こうしたリバウンドをするとダイエット前よりもやせにくく太りやすい体になってしまいます。
ウォーキング、ジョギング、エアロビクスなどの有酸素運動は期待するほどのダイエット効果はありませんので、脂肪燃焼は最初から期待しないほうがいいです。それでも有酸素運動が求められるのは、心肺機能を高めて持久力が高まり、日々の活動量が大きく引き上げられます。心肺機能を高めるためにはのんびり散歩するより普通に歩くほうがよく、それよりは速歩きのウォーキング、それよりはジョギング、それよりランニングの方がいいということになります。最初は自分の体力にあった強度の有酸素運動からはじめ、慣れてきたら徐々に強度を上げていく姿勢が大切です。自分の感覚で10分以上継続出来る強度というのが目安です。心拍数135-140を20分間キープする運動強度が設定の目安です。
仕事などが忙しくてまとまった時間が取れない人は、運動以外の身体活動で消費されるニート(非運動性熱産生)を増やしましょう。運動を頑張るよりもニートを増やすようにがんばるとはるかに高いエネルギー消費量が稼げます。デスクワークが多い人も工夫してニートを増やすしかありません。
ダイエットは我慢している人ほどリバウンドしやすいものです。急にやせるなどの大幅な変動があると、それを異常と受け取り警戒するシステムになっていて、本能レベルで迫ってくる食べろの声に逆らえないからです。人間の脳と体はラクな方へと向かおうと、コンフォートゾーンに入ろうとします。太った人の体は我慢や辛抱のないコンフォートゾーンに長年にわたり快適な生活を送って出来上がり、厳しいカロリー制限しても、戻りたいという体の声は消えないでしょう、そこでいちばん合理的で効率的な手段は、少しずつゆっくり時間をかけてやせて脳と体をごまかしていく方法なのです。ロジカルダイエットでは1日に減らすべきカロリー量はせいぜい200-300kcalです。ゆるすぎてやってる気がしない人もいますが、脳は体脂肪が少しずつ減っていることも気づいていないでしょう。数ヶ月続ければチリツモで相当なりょうの体脂肪が出ていくことになるでしょう。ではどれだけ食事量を減らせばいいのでしょう。自分が1日に減らすべきカロリー量を計算式で割り出して目標を明確にしていくシステムです。まずは自分がどれだけ摂取しているか、カロリー量を逐一数字化して気づきを得ることが大事です。現在の体重の自分が1日で消費するカロリー量と、なりたい体重になったときに1日で消費するカロリー量を計算しその差を求めます。計算にはメッツ・時を使いますが、メッツとは運動強度を表わす数値で、時間をかけて運動量。表わす数値がメッツ・時です。安静でメッツは1で、速歩きは4、ゆっくりのジョギングは8となります。2時間速歩きをすると4に2をかけて8メッツ・時となります。 メッツ・時に体重をかけるとおおよその消費カロリーがわかります。24時間何もせず安静にしていたら24メッツ・時となりますが、ほとんど動いていない人は34メッツ・時、立ち仕事が多い人は38メッツ・時、非常に多く動いている人は48メッツ・時となります。体重60kgでほとんど動いていない人の現在の自分の体重で1日に消費するカロリー量は2040kcalになります。なりたい体重でも計算でき、その引き算の値が1日に減らすべきカロリー量になります。メッツ・時をご自身で算出する際は辛めにつけるようにしましょう。メッツという概念はあいまいだからです。
目標の体重減を達成するまでどれくらいの日数を要するのかの求め方は、減らしたい体重(kg)×脂肪1kgのカロリー量(7000kcal)によって落とすべきカロリー総量が出るので、それを現在の摂取カロリーと目標体重の摂取カロリーの差で割ると出ます。
カロリーコントロールの次の問題は、カロリーの範囲内でどんなものを食べてコントロールしていくかです。最初はカロリーが明記してあるものを選んでメモをしておき、食べたものが1日の食べていいカロリー量をオーバーしないようにしていきます。何日か続けると頭と体に感覚がしっかり叩き込まれます。栄養管理アプリもあるので利用するといいでしょう。栄養バランスのいい健康的なラインナップで合計カロリーを出せればいいのですが、最初のうちはあまり栄養面にはこだわらないほうがいいと思います。試行錯誤を重ねて自分が食べていい量をつかんでいくことが大切です。
運動については、筋トレは腕立て伏せ10回、腹筋トレ20回、スクワット20回、これを1セットとして、最初は1セットでもいいですが、慣れたら2-3セットしてください。
有酸素運動は心拍数135-140を20分が目安です。30分でも1時間でも構いません。週1-2回でOKです。有酸素運動でわずかに消費カロリーは増えるため消費した分の摂取をする発想はありだと思います。自分がした運動の量は過大に評価しやすいので、その点は注意しましょう。
習慣を定着させるには最低でも3ヶ月の時間が必要です。できれば6ヶ月くらいを習慣定着期間とみておいたほうがいいと考えています。
ダイエットを成功に導く12ヶ条は、ご飯をお代わりしない、おなか一杯になったらやめる、ちょっとだけ残すのはもったいないとは考えない、腹八分目を意識せずそれ以上を求めない、達成すべきは結果目標ではなく行動目標、代謝や体質を言い訳にしない大皿料理でなく適量のプレートを食べる、自分に都合のいい免罪符は封印、体重計の数字に囚われないわチートデイをチートウィークにしない、やせた側の住人だというプライドを抱く、です。
感想
運動ではやせないけれど必須であることや、過去のダイエットがうまくいかない理由などはおおいに賛成しますが、トータルのカロリーがプラスなら太りマイナスならやせるというシンプルな話、というのは本当でしょうか。同じカロリー摂取でも炭水化物の方が太ると思います。カロリーだけで考えるのは健康面の問題もありちょっとどうかと思いました。