金を使うならカラダに使え。

著者紹介・概要

2024年3月25日初版の幻冬舎から発刊された本です。著者は堀江貴文、監修は予防医療普及協会です。新しい医療について堀江氏が専門家から聞いてそれを評価し、実践もされるような内容です。

金を使うならカラダに使え。

内容

骨格筋が収縮した際に分泌されるホルモン物質をマイオカインといい、運動の効果全身に及ぶのはマイオカインが理由ではないかとするマイオカイン仮説があります。運動した際に出る乳酸も、体内の水分でイオン化すると水素とラクテートとなり、水素は酸性に傾けるので細胞には良くないですが、ラクテートは骨格筋のエネルギー源として利用できるのでメリットが大きいです。

血中のGDF15が高値だとミトコンドリアの状態がよくないとわかってきました。ミトコンドリア病にMA-5という、インドール酢酸から作られた化合物の薬があり、現在臨床研究が進み、いずれは予防医学やアンチエイジングへの波及も期待されます。ミトコンドリアは活性酸素にさらされており、避けるのは喫煙と睡眠不足で、運動はいいことです。アミノレブリン酸、EPI-743、コエンザイムQ10などの研究も進んでいます。

幹細胞培養の上澄み液からエクソソームが発見され、老化予防に有用で、保険外診療で点滴投与もされています。エクソソームは1-2日で体内から消失し、週1度か月2回の継続が勧められ、1回15分くらいでおわります。

老眼は一般的に40代後半からはじまりますが、視力のいい人は42-43歳で老眼鏡が必要担ったりもします。老眼の原因はピント調整ができなくなっているからで、水晶体の硬化や毛様体の弱まりが原因となります。毛様体を鍛えるのには、30cm程度先の手元度ずっと遠くを交互に見るのを毎日5-10分続けると老眼を遅らせることができるかもしれません。新しいICLは眼内に挿入する眼内コンタクトレンズの遠近両用版で、レーシック手術をしていても出来、多焦点レンズ(5焦点)で遠方から近方までなだらかに焦点があいます。暗い場所では機能が落ちることはあり、明るい環境で見る必要があります。手術は老眼鏡がないと近くが見えないタイミングがいいです。手術は10分くらいで終わります。白内障の手術と同時も可能ですが、片眼ずつになります。失明の報告は国内外で1例もありません。ICLは40-50年の安定性は確立されていますが、レンズの入れ替えは可能です。

いびきが出る要因は、骨格、肥満、加齢です。筋肉量の増加も気道を狭くさせます。口呼吸でさらに気道は狭くなります。睡眠時無呼吸症候群の人は、昼に起きて活動するためオレキシンが大量に分泌され、食欲もでてしまい食べる量が増えます。

65歳以上で45%が難聴者です。高齢者が難聴になると、鬱や認知症が進むと指摘されています。難聴には外耳・中耳の障害での伝音障害と、内耳が原因の感音難聴があり、加齢性難聴は内耳障害で、今の医療では有効な治療法はありません。難聴の最初は子音が聞き取りづらくなります。補聴器の使用が望ましい人の14%しか補聴器を使用していません。満足度も日本では38%で、イギリスなどでは74-82%と高いです。調整や訓練が必要ですが、気軽に購入して正しく使えてないことが考えられます。補聴器相談医もいるので、耳鼻科を受診して相談すべきです。補聴器の購入費用は医療費控除も可能ですが、補聴器相談医から診療情報提供書を発行してもらう必要があります。補聴器はスタンダードで10-20万円で、両耳なら倍します。

歯科医院でクリーニングする場合、特殊な道具を何種類も使い15分、汚れが多いと30分くらいかかりますので、市販の歯ブラシ2-3分では取りきれません。歯周病菌は30種類程あり、嫌気性菌は空気の届かない歯垢の中に入り込んで繁殖します。歯垢や歯石がないと繁殖できないため、歯垢・歯石の量と時間の経過で悪性度の高い菌が増えていきます。歯を失う原因は歯周病と虫歯となっていますが、歯根まで朽ち果てるくらいでないと抜歯はしないので、歯が割れて抜歯になることの方が多いです。毎日の歯磨きには歯ブラシだけでなく歯間ブラシも使ってほしいです。フロスより歯垢の量が減り、酸素にさらせるので毒性の強い菌の発生を遅らせることができます。歯周病菌は歯茎から侵入し血管内に入り込め、全身に運ばれて悪影響を及ぼします。

50代くらいになると歯のヒビが原因で歯が割れるリスクが高まります。犬歯は歯ぎしりができないように先端が尖りストッパーとして存在しますが、歯ぎしりをする癖があると犬歯がすり減り、歯ぎしりができるようになり最終的に歯が割れてしまいます。歯が割れる原因は硬いものを食べたからでなく歯ぎしりの積み重ねの疲労骨折のようなものです。コンポジットレジンというペースト状の歯科用樹脂を、犬歯に補って歯ぎしりをしにくくかせる、ヒビが入ってすり減っている歯の先端に塗ってヒビの発生と広がりを抑止できます。寝ているときの歯ぎしりはマウスピースを装着します。歯をすり合わせる癖もやめましょう。咬筋が強いと歯が割れる原因にもなるのでボトックス注射で弱めることも提案されます。効果は4-9ヶ月持続するので、まずは1年に1回からを提案します。

男性のアクティビティについて重要なのがテストステロンで、それに関わる亜鉛とビタミンDも重要です。テストステロンは個人差があり、年をとってもそれほど変化のない人や、30-40代から貼っていく人もいます。ストレスを感知するとテストステロンの分泌が減り心身への影響があらわれ、生活習慣病やがん等の病気にも関わってきます。男性にも更年期症状があり、テストステロン補充療法もかんがえられますが、日本では男性用のテストステロン製剤は筋肉注射しかなく、ゲルや経口薬のある海外とは異なります。テストステロンは環境や感情によっても変わり、日によってもかなり変化するため、唾液で測定する方法もあります。一番数値が低くなるのは15時頃です。

大腸がんの国民健康保険被保険者の受診率は2015年で14%しかなく、便潜血陽性は約6%ですが、3割程度は精密検査せずに放置しています。便潜血陽性の3-5%に大腸がんが発見され、そのうち6割は早期がんですが、症状が出てから受診する人の8割は進行がんというデータがあります。韓国で便潜血陽性の下部消化管内視鏡検査を無料にしたところ7.3%から30.5%に増えました。

肺炎が重症化するリスクは高齢者のほうが高く、30代を1とすると50代は10となり、肺炎になると認知症のリスクが2倍に増えます。肺炎球菌ワクチンがあり、施設に入所している人に接種すると、発症率は63%減、死亡率は44%減となり、接種後5年後の安全性は確認されています。2021年の日本人の接種率は、65歳以上で40%、70代以上は20%程度です。

時々むせる人は、嚥下機能の回復・維持のため、口を最大に開けて10秒キープを1日に2-3回し、2週間くらいすると効果が出てきます。噛む機能も重要で、マウスピースを作って装着し、10秒間噛み締めることを5回繰り返すと咬筋が増えて噛む力も改善します。猫背でも嚥下がしにくく、姿勢を保つ必要があり、そのためには筋力が必要です。筋力維持のためには6時間以上立っていると骨格筋を維持しやすくなります。運動しているのに嚥下のしにくさが悪化するようなら、パーキンソン病やALS等の病気の可能性もあります。

感想

影響力のある人が健康に興味を持って、情報を発信されることはとても意義のあることだと思います。エクソソームに関しては有効性や安全性がはっきりしておらず、厚労省が注意喚起している事態になっています。新しいものには未知なる可能性があり期待される反面、思わぬ弊害が潜んでいる可能性もあるため、注意深く情報を追う姿勢も必要と思います。

CR医療相談所 > 医療記事一覧 > その他 > 金を使うならカラダに使え。

ページトップへ