著者紹介
2022年4月15日のマキノ出版から発刊された本で、著者は玉那覇康高氏、監修は島袋史氏です。玉那覇氏は1926年沖縄生まれの薬剤師で、現在も断食道場を続け、講演会などで小食や西式健康法の普及活動に努めておられます。島袋氏は1970年生まれで1975年に琉球大学医学部を卒業され、産婦人科を専攻して2011年に開院され、自然療法を取り入れた診療をされています。
半日断食で病気知らず薬いらず
内容
3食しっかり食べて栄養をつけること、医師の言うことを守り処方された薬をきちんと飲むことは、健康であり続けるための必要なことではありません。朝食をとること、様々な薬を飲むことは有害無用なのです。半世紀以上1日2食の半日断食をしていますが、西勝三先生が確立した西式健康法と出会ったことがきっかけです。これにより14歳から24年間悩まされていた慢性頭痛が見事改善しました。
私の1日は朝の運動から始まります。西式健康法の運動です。一通りの運動を終えて太陽の光を浴びながら昇降運動をして、スクワットもします。起床時間は決めていませんが午前5時くらいが多いです。朝食はとらず午前中は水と柿の葉を茶葉にしたお茶だけです。柿の葉茶は1日で1L飲んでいます。昼食は12-13時頃で、野菜ジュースに納豆、ジーマミー豆腐など簡単に済ませることがほとんどで、夕食は19-20時に済ませ、必ず摂るものは玄米ご飯か玄米がゆと豆腐とアーサー(沖縄でとれる海藻の一種)入りの味噌汁、小粒の梅干し3個です。それ以外はゴーヤチャンプルーや鯖缶など手軽に準備できるおかずを添えて腹八分で食べます。お酒は時々飲みます。寝る前に西式健康法の入浴法である温冷浴を行い、朝と同じ運動もして寝ます。寝る時間は眠たくなったらねるようにして、0時前に寝ることはほとんどなく、1-2分で眠りに尽きます。月1回断食研修会を開催し、3日間断食します。現在95歳ですが、風邪さえひかない健康体を維持して、血圧・コレステロール値・血糖値は異常ありません。
西式健康法とは症状は必要だから出ていると考えます。風邪をひいて熱が出るのは体温を上げてウイルスを殺すため、下痢をするのは体内の有害毒素を排出するためです。西式健康法の主軸となっているのは断食です。病気で食欲がない時は食べないのが一番です。食べないと体が衰弱して病気に負けると誤解して栄養を摂ることは自然治癒力を邪魔していることに他なりません。断食をすると疲弊していた内臓が休まりその機能が回復します。副腎皮質ホルモンの分泌が増えて自然治癒力を高めたり、白血球を増やして免疫力を高めたりする作用もあるとされています。断食を行うと体内の毒素や腸壁に長年付着している宿便が排除されて血液が全身をくまなく循環し、体の隅々まで掃除ができると西先生は言っています。西式健康に加療を加えて西式甲田療法を提唱した甲田光男医師は、断食中または断食後に大量の宿便を排泄した人のほとんどがその後病状が劇的に好転すると著書に書かれています。宿便を完全に出すには1週間から10日くらいの長期間の断食が必要で、それが無理なら3日間の断食を繰り返すことで効果が得られます。
1日2食で毎日反日断食を行っていることになるので、続けることで長期の断食に近い効果が期待できます。フランスの研究で1日3食食べる人は尿中に毒素が75%しか排泄されませんでしたが、1日2食の人は100%排泄されていると報告されました。1日1食では127%にもなりました。回復力や免疫力は空腹時に高まるため何も食べない時間をできれば18時間以上作ることもポイントです。18時間が難しければ16時間でも構いません。
現代の医薬品は石油から作られている化学物質です。本来身体に入れるべきではない異物のため、副作用として様々な悪影響があることを忘れてはいけません。特に抗生剤やステロイドや胃薬は腸内環境を悪化させる要因になるようです。
病気は医師や薬が治すものではなく自分で治すものだということです。西式健康法では皮膚、栄養、四肢、精神の4つを健康の四大原則としています。この4つは各人の自由な意思によって同様にもなるという共通性を持っています。
食べ方が速いとよく噛まずに飲み込むことになり、消化しきれない食べカスが腸に溜まり腸内環境を悪くして体に様々な悪影響を及ぼします。甲田先生は、胃腸の処理能力を超える負担をかけ続けた場合、腸管内に停滞する排泄内容物を総称して宿便と呼びました。半日断食は体内時計に即した食事法といえます。人体の機能は、午前中は排泄の時間、午後は吸収の時間、夜は消化の時間とされています。朝は消化の負担をかけずにできるだけ内臓を休ませた方がいいといえます。空腹状態になることで便通が良くなります。おなかが減るとグーッとなりますが、腸管の消化酵素であるモチリンが分泌される合図です。半日断食で排便が促されて便秘が改善すれば毒素が体内に留まらないため有害物質が体に再吸収されることを防げます。便秘の改善で腸内環境も改善し、それにより免疫力も高まります。胃や肝臓もひっきりなしに働いていると疲弊し機能低下をおこすので、半日断食で内臓が休まり体の健康が保たれます。食事回数を減らすと消化にエネルギーを使わなくて済むので、身体がリラックスして回復力が高まるというメリットもあります。食べ物の消化の代謝が抑えられると余計なエネルギーを使わなくて済む分、悪い箇所があれば修復するなど自己治癒力によって体を回復させることができるのです。
糖化とは血中の余分な糖が体内のタンパク質や脂肪と結びつく現象で、AGEsという老化を促す物質が作られ、様々な病気の原因となったりします。糖化を予防するためには血糖値を急激に上げないことが重要です。半日断食は朝食に伴う糖化の機会を減らします。老化の研究では寿命を延ばすには食事の回数と量を減らせとの報告があり、摂取カロリーを最小限にすることで長寿遺伝子を活性化させて老化を遅らせることができるというのです。細胞内の古くなったタンパク質が除去され新しく作り変えられるオートファジーにて細胞の健康は維持されていますが、16時間以上空腹の時間を作ると最大の効果が得られるとの報告もあります。
私はオーラリングというフィンランドで製造された指輪タイプの機器を使って、呼吸数、心拍数、心拍変動、体温変化を測定しています。それをみると食べない日の方が代謝は落ちて体がリラックスした状態になったと考えられました。また食べたものがきちんと消化された状態で寝た方が体は回復のために十分な時間をとることも証明されました。
半日断食の注意点は1日のトータル量を減らすこと、毎日16-18時間空腹の時間を設けることです。これが守れれば夕食を抜いてもいいと思います。1日3食の人が急に朝食を抜くと低血糖発作や空腹に我慢できない場合もあり、朝は生野菜と果物などで減らすことから始めましょう。少しずつ空腹に慣れていけば低血糖も起こりにくくなります。よく噛んで栄養のあるものを食べるようにしましょう。寝る3-4時間前には済ませる必要もあります。
半日断食に運動を併せて行うと寿命が延びる報告があります。食べないと代謝が落ちて体温が低下し、体温が低下すると免疫量が低下するといわれていますが、空腹の間に内臓が休まるため免疫が下がるということはありません。運動で筋肉がつくと深部体温の低下を防ぐことができて免疫力アップにつながるといえるでしょう。
半日断食の実際は、午前中は固形物を摂らず水分だけで過ごします。水か柿の葉茶だけで、どうしても味の付いたものを摂りたければ野菜ジュース化青汁です。野菜ジュースはミキサーで拡販して手作りが望ましく、市販のものは食物繊維が損なわれています。水分は一気に飲むのではなく、ちびちびと少しずつゆっくり飲むようにします。温度は体温に近い温度か熱すぎない常温以上で飲みましょう。水分は1日1-2Lを摂るように心がけましょう。昼食と夕食は腹八分目を心がけ、栄養バランスを意識します。おすすめは玄米菜食です。野菜はなるべく生で摂る様にします。味噌汁も毎日食べてください。野菜を入れるときはあまり煮すぎないようにし、豆腐や海藻を具に入れるといいでしょう。動物性食品では青魚は積極的にとりましょう。肉も時々ならOKですが、添加物まみれのハムやソーセージは避けましょう。卵やヨーグルトやチーズは毎日ではなく適度に食べる分には問題ありません。間食はNGでおやつを食べるなら食後すぐにして、夜食をしないのも鉄則です。空腹時には素焼きのナッツ類が重宝します。
半日断食を毎日するのがつらいようなら週に1日だけでも構いません。半日断食に慣れてきたら時々3食を抜く1日断食を行ってみてはいかがでしょうか。1日断食中も水か柿の葉茶によるこまめな水分補給はしっかりして、1日1-2Lはとるように心がけます。病気などで衰弱しているときはしてはいけません。3日断食は水分だけでは事故につながる恐れがあり、最低限の栄養を摂取しながら行います。青汁と海のにがりから作られた天然の下剤を加えたドリンクを昼12時と夕16時半に飲みます。断食後も復食の期間を設けて1.2日間はおかゆと薄味の味噌汁と梅干、3日目から通常の半日断食にしますが、腹五分にします。4日目は腹七分でそれ以降は腹八分の通常通りにしてもらいます。
病気の原因となる体の狂いは4つあります。脊柱(背骨)の不整正、血液の不等速循環、神経の不調和、酸とアルカリの不均衡です。脊柱は内臓と深い関係があり、背骨がゆがむとそこから内臓に伸びている神経が圧迫されたりねじれたりする障害を受け、内臓の機能が悪くなります。血液が混濁すると体の不調を招き血液が流れる速度を統一して濁りを改善させます。左右の神経がアンバランスに働いたり自律神経のバランスが崩れると健康を害します。人間の体液がはpH 7.4の弱アルカリ性で、どちらかに偏ると様々な病気に偏ります。これらを改善する西式健康法の運動が、金魚運動、毛管運動、合掌合蹠運動、背腹運動があります。寝具の枕も重要で、西式健康法では硬くて平らな板の上に寝て木や陶器のような硬い枕を使うのが良いとされています。温冷浴とは16-17度の水と40-43度のお湯を用意し、自ら初めて1分間浸かり、次にお湯1分間、水→湯→水と繰り返し最後水で終わるように合計7-15回湯船に浸かります。これを繰り返していくと温度変化に順応できる体になり、肌がキレイになり顔色が良くなります。浴槽が一つしかない家庭では水はシャワーでも構いません。心臓病や高血圧などの人はしないで下さい。精神面のケアも重要で、強い意志をもってよくなると信じ、笑顔の練習も行うと健康効果が一層上がります。
感想
断食は賛否両論があり、半日断食すれば健康になるみたいな題名ですが、それ以外のいい生活習慣があっての健康だと思われ、半日断食は少なくとも健康を害さないということは間違いないと思います。毎日半日断食をする、週~月1回程度全日以上の断食するなど、いろいろ方法は考えられますが、自分に合う生活習慣を考えていくうえで半日以上の断食も選択肢に入れるべきと考えます。