著者紹介・はじめに
2023年9月20日初版のKADOKAWAから発刊された本で、著者は望月俊孝氏です。望月氏は1957年生まれで上智大学を卒業されました。多数の本を出されています。
マインドフルネスってよく聞くけど、具体的にどうしたらいいのかよくわからなく、その状況でこの本を読んで抜粋しました。
1分マインドフルネス
内容
あなたが抱えている人生の課題、悩み、不安はマインドフルネスで解決することができることでしょう。本書のポイントは科学的な根拠に裏打ちされている、1分で実感でき短時間で実践し、一生使える、有効性が高く人生が変わります。
私たちが意識的に注意を向けることができるのは脳内の膨大な情報のうちわずかに0.0004%程度なのです。逆に言うと約99.9996%は未知の世界で、未知と可能性は同じ意味で、意図して注意の向きを変えれば良いだけです。どのように向きを変えればよいのでしょうか。今、この瞬間だけに意識を集中すればよいのです。これがマインドフルネスです。
人はどんな状況にいると成長するでしょうか。マウスの実験で1日2時間完全な静寂を体験すると、記憶を形成する海馬領域の細胞が発達し続けていました。脳は無音だと迫りくる危機に備え、その刺激が神経細胞の成長を促すと考えられます。
立派な計画を立てようとすればするほど、それを言い訳に行動を先延ばししてしまいます。突然の些細なきっかけを機会としてまったく違う人生を始めることもできるのです。
メンタルの問題は心の強さの問題として語られる事が多いです。精神的な苦痛を抱える方が使う言葉の傾向は、私・私自身など自分をさす言葉を多用し否定的な言葉を多用する、あなた・彼らなどの言葉見受けられない、絶対主義者の言葉を多用すること、でした。自分だけが悪い、ある出来事が人生の全てに影響しいつまでも続くと思うことで、それらが立ち直ることを妨げていて、私・絶対の枠から離れ、高い視点で苦しみの発端を見つめてもらうことです。
目標を成し遂げるための目標設定を強化すると、やるべきことは明らかになりますが、できなかったことが嫌でも自覚され、いつの間にか目標を向かう気力を失い結局なにもしなくなってしまう人が多いのです。そこで大切なのはできなかった自分を受容し許すことです。
脳は過去と現在の情報を使い未来の予測を立てるように設計されている器官で、過去の出来事を参考にしてより良い未来の選択をして生き抜くために記憶は存在しています。現在の対象に愛着を感じるほど、過去の記憶と未来の想像を鮮明に出来るので、今、この瞬間を愛することが大事です。
歴史を変えたテクノロジーの発案者は休むことを徹底されていて、ただ休日を増やすことではなく、仕事や課題から心がきちんと離れていることが必要です。
マインドフルネスは仏教の正念からきています。西洋医療では解消できない慢性的な疼痛に対してマインドフルネスが初めて医療に取り入れられました。それにより慢性疼痛、ストレス、不安症、うつ病への効果が報告されました。教育の場にも広がり、グローバル企業にも多く採用されました。
そもそもマインドフルネスの根幹は注意と気づきです。身体の感覚や呼吸に注意を向け、普段無意識に処理していた感情や思考に気づくことです。新しい経験に気づき、たとえ不快を感じても先入観で決めつけず心を開き、好奇心をもって向かい合い、自分の感情・情動・思考に反応することなく、それを知覚し気づくことです。5つの心のアクションにまとめられます。観察(心を見つめる)、描写(表現する)、意識して行動する(今に集中する)、内的経験の非判断(そのまま受け入れる)、内的体験への非反応(動じない)。
マインドフルネスの効果は、うつ病の軽減、感情のコントロールが上手くなる、不安やストレスの軽減、記憶力向上、認知機能の向上、一定時間注意を集中できる力が身につく、より強い人間関係の構築、身体の健康増進の8つが科学的に証明されています。
マインドフルネスにより、免疫力の要の分泌型IgAが増加し、右扁桃体の体積が減少し高次の脳機能を司る前頭前野が活性化していました。
ある職場で8週間のマインドフルネスで変化がみられました。ストレスは自分だけでなくみんなも同じと気づき、自分の心の健康は自分でなんとかしないと気づき、自分のカラダ・思考・感情について今何が起きているのか気づき、ストレスを感じる瞬間とその時のカラダの反応がわかって、すぐに対処するか時間をかけて見つめるか選べるようになり、日常生活の出来事をマインドフルネス的にとらえるようになり、緊急時も心をコントロールし主体的に物事に取り組め、自分の中に自宅のような安定感を見出しなにが起きても受け入れる自信を持つことができました。
人は何か刺激を受けると意識が向きますが、反射的に感情や思考がわいて邪魔され、意識して向き合えなくなり、この状態をマインドレスといい、しっかりと向き合うのがマインドフルネスです。
マインドフルネス瞑想中に否定的な心の声がでてきますが、これは自分で自分にジャッジを下している証拠で、居心地が悪いのは歓迎すべきともいえ、何が出てきてもただ見守り再び呼吸の状態に戻り、一歩引いて自分を俯瞰します。心が迷っても、必要な段階と考え先を急ぐ心をおさえましょう。知っているという認知のフィルターをかけてみてしまうので、すべてのものを初めて見るかのように接することが大事です。権威ある人が言うことはありますが、マインドフルネス瞑想の主役は自分です。これまで目的のための努力を教えられてきましたが、がんばりは不要で、自分が自分でいることが唯一の目的です。物事をありのままに受け入れると次に何をするべきか明確に見えてきます。思考や感情など信念や執着があり、浮かんだ途端に排除したくなるものもありますが、こうした差別はせず自分の思考をあるがままに受け止めるのです。
リラックス法で最も大切なのが呼吸です。目を開けたまま5分間腹式呼吸をするだけで脳波にα波が現れたというデータもあります。立っても寝てもできますが、座る場合の瞑想呼吸法は背筋を伸ばし足裏を床につけまっすぐ座ります。お尻と頭が一直線になるのが理想です。一度体中に力を入れてからストンと全身の力を抜いて手足をリラックスさせます。呼吸をゆっくりしますが、浅くても長くてもいいのでコントロールしようとしないことです。呼吸に手中出来るようになったら感覚を外の世界に向けてみましょう。聴覚に注意を向けるのがおすすめです。胸や腹が上下する感覚にも注意を向けてみましょう。感覚を味わったらまた呼吸に注意を戻します。無数の思考や感情が行き来するでしょうけど、それらが生じ通り過ぎるのを観察すればいいだけです。思考に注意を奪われそうになったら呼吸に意識を戻すのです。終えるタイミングは自由です。瞑想体験を書き留め、どう変わったか後から振り返ることは大事です。1週間程度書くと中の感覚の変化が実感できるようになります。
ボディスキャンは椅子に座って行い、足裏を床につけ、手は膝の上に置き目を閉じます。背骨の周りの筋肉をリラックスさせながら背骨をまっすぐに保てるか確認します。足の裏に意識を向け床についている感覚を確かめましょう。それを感じながら呼吸を意識し、足の裏から息が出たり入ったりするイメージをしてみてください。もし痛みや不快を感じる場所があれば、深く息を吸い込みその場所に送るイメージを持ちましょう。足から順に上の方へ意識を移して観察していきます。特定のパーツだけでも構いません。一連のボディスキャンが終わった後に体感を書き留めましょう。後から振り返り変化を感じることは重要です。寝る前や起きた時に大の字に横たわってもやってみましょう。
マインドフルに食べることもできます。食べ物に敬意を表し、食材はどこから・誰が調理し運んできたのかなど想いを馳せます。五感を働かせ色・香り・味・食感など時々手を止めて感じ、自分の気持ちを観察します。控えめな量でよく噛んで味わいます。食べ過ぎないようゆっくり食べて食事を抜かないようにします。健康のため、地球のため植物性食品を摂りましょう。これは実践が難しく、箸置きを用意して、一口ごとに箸を置いて感じましょう。
セルフコンパッション瞑想は、楽な姿勢をとり落ち着くために腹部の呼吸に注意と意識を向けて、お腹が上下するときの呼吸の感覚を確かめます。大切に考えてくれる最愛の存在を想像してみます。昔会った人でもペットでも構いません。その存在と一緒にいる感覚を味わって「あなたが元気でありますように」「あなたが幸せでありますように」などの言葉を2-3回繰り返し伝えてみましょう。この時わいてくる温もりも味わいます。今度はそこに自分のイメージを加え、2人に対して「あなたと私が元気でありますように」「あなたと私が幸せでありますように」を伝え、わいてくる温もりも味わいます。最愛の存在とお別れして自分自身に「私が元気でありますように」「私が幸せでありますように」と伝えます。長く3回深呼吸して目を開けます。これをセルフから家庭・職場の人などに広げ、地球上すべての生物に愛が広がっていく様子を想像しながら「地球上すべての生物が幸せでありますように」を繰り返してください。
自分に思いやりを向ける際に不快感や恥などいろいろな感情がうごめくことがありますがこれは正しいプロセスの中にいます。うごめく感情の中で一番強い感情を見つけてその感情を言葉にします。感情を分析するのではなくその感情が体のどこに表れているのか注意を向けます。その場所に深呼吸して息をおくったり優しく触れます。足の裏をしっかり感じながら歩いてみて、自分の全身を支える一歩に感謝しながら自分と地面のつながりを感じます。
16-68秒メソッドとは、夢が叶って実現した時やその後の気分を鮮明にイメージして17-68秒味わうことです。未来を鮮明にイメージすると意思決定に関する脳の前帯状皮質や恐怖や不安を司る左偏桃体が活性化します。すでに願いが叶った気分を味わい、実現不可能でイメージしずらいものは避けます。
マインドフルリスニングは身の回りを整頓し、目で聞くつもりで話し手を見ます。一通り話し終えたと意思表示するまでは口をはさまず、結論や評価を下すような発言はしません。自分の解決方法を押し付けず、より多くの質問をし、あとで振り返ることです。対話するときは最初から自分なりの答えを持っており、それを補強するような内容ばかり無意識で聞いてしまいがちですが、自分の考えの否定になる証拠を探すつもりで聞くと傾聴の姿勢になります。
Awe(オウ)体験とは、壮大な景色を眺めたり、出産に立ち会ったり、感動的な芸術に触れた時に感動だけでは表現できない厳粛な畏敬の念を感じ、それを感じる出来事のことです。Awe体験時は交感神経も副交感神経も緩慢になり一時停止状態となり、人生で立ち止まる時間をプレゼントしてくれます。マインドフル瞑想の目指すところも一緒で、Awe体験は自動マインドフルネスとなります。Awe体験で広大さを感じ、今までの自分では理解できないと降参し、時間のとらえ方がゆっくりとなり、自分がちっぽけな存在だと感じます。これは悪いことではなく、自分中心の意識から周囲の世界に目が向き始め、他者に寛容になって助けようという気持ちが生まれます。
体の炎症を防ぐポジティブな感情を調べると、畏怖が最も効果が高いことがわかりました。Awe体験はエンタメ体験ともいえ、スポーツ観戦、映画鑑賞、音楽鑑賞、パワースポット巡りでも該当します。
ずっと瞑想にふけるわけにはいかず、忙しい日常が始まり、心のさまよい、・マインドワンダリングに巻き込まれます。他にやらないといけない予定・目標、無関係な空想や白日夢、今の悩みや課題が挙げられ、ネガティブな感情や疲れがあるとマインドワンダリングに巻き込まれやすく、何か一つに没頭していると心はとどまりやすいです。マインドワンダリングに巻き込まれないようにするには、感謝をすることが大事で、誰かに感謝して1日3回言葉で伝える、寝る前の15分間その日の感謝できることを3つ思い出して書くようにすることです。誰にも感謝できない夜には自分の舌に感謝しましょう。舌があるから噛んで飲み込んで発話もできるのです。マインドフルに食べるとき舌に注意を払うのもいいでしょう。
感想
マインドフルネスのやり方がなんとなくわかった感じがしました。これをすることにより心と体に安楽がもたらされるようですので、取り入れていきたいものです。